キッツ、遠征へ弾みつける

 北都のG2は、秋を見据えた戦いの舞台でもある。マイネルキッツ天皇賞・春2着以来、3カ月半ぶりに登場。札幌入厩後はじっくりと乗り込みを消化し、上々の仕上がりを見せている。豪華メンバーがそろうが、豪G1を見据えるG1馬としては譲れない。活気にあふれる7歳馬が、遠征前の国内最後の一戦で南半球最大の競馬の祭典へ向けて弾みをつける。

 G1馬として、ぶざまな姿は見せられない。昨年の春の盾を制し、今年も2着。マイネルキッツが、豪州遠征を控える秋へ動き出す。遠征前、国内では最後となる実戦。休み明けでも態勢はしっかりと整えてきている。
 「じじいじゃないよ。やる気満々だし、とても7歳とは思えない」とジョークを交えて語るのは国枝師。火曜は自らその背にまたがった。乗り運動への騎乗は、約1年ぶりだという。「活力はあるし、気持ちの面でモチベーションが高い。オレも見習わなければならないし、どっしりと構えないといけないね」。その表情からも状態面への不安は感じられない。
 気になるのは距離。近走は長距離を中心に使われており、2000メートルは09年中山金杯(4着)以来となる。しかし、指揮官は、「問題はないと思っている。実際に、この距離でもいい競馬をしているからね」と問題視はしていない。08年の新潟記念福島記念で2着。七夕賞でも3着と2000メートルの重賞で実績を残している。しかも、コースは得意の札幌。条件戦ながらも〈2・1・0・1〉と抜群の成績を残している。
 札幌記念後は美浦へ帰厩し、東京競馬場で検疫に入る。前哨戦にコーフィールドC(10月16日・コーフィールド)を使って、本番のメルボルンC(11月2日・フレミントン)へ。懸案事項だった検疫問題も、日本で2週間、現地で3週間という形で決着がついた。日本のファンに強烈なインパクトを残し、世界へ向けて大きく羽ばたく。