バリアー 桜へ新星誕生

 新星誕生だ。9番人気のサウンドバリアーが外から脚を伸ばし、鼻差で激戦のトライアルを制した。渡辺は約4年1カ月ぶりの重賞制覇。2番人気に推された笠松競馬所属のラブミーチャンは直線で失速。12着に終わり、連勝は「6」で止まった。2着ラナンキュラス、3着レディアルバローザまでの上位3頭が、桜花賞(4月11日・阪神)の優先出走権を獲得した。

 初コンビを感じさせない絶妙のリズムを奏で、ニューヒロインが春の仁川を突き抜けた。上位5頭が同タイムで駆けたトライアル。サウンドバリアーが大激戦を鼻差で制し、桜のヒロイン争いに堂々と名乗りを上げた。
 エスコートした渡辺も光った。後方で折り合いをつけて脚をため、エンジン点火と同時に馬場の外へ。鞍上の闘志に呼応するように、パートナーはグイグイと伸びた。「手応えが良かったので必死に追うだけでした。素晴らしい切れ味を見せてくれた」。06年シルクロードS(タマモホットプレイ)以来、約4年1カ月ぶりとなるG奪取に「重賞はいいですね」と甘いマスクを緩ませた。
 公私ともに充実とは、このことだろう。昨年11月に、かつて“初代おけいはん”(京阪電車イメージキャラクター)や競馬番組のアシスタントなどを務めた、タレントの水野麗奈(28)と結婚したばかり。先週には区切りとなる通算300勝も達成。「生活も変わってきましたからね。サポートしてもらっているので」。ホワイトデーに、会心の勝利で感謝を添えた。
 桜切符獲得に、安達師は笑顔を見せる。先週のチューリップ賞を除外になったが、今回は10分の4の抽選を突破。実力に運もたぐり寄せた。「権利を獲れたし、勝てて良かった。折り合いもついた。この感じなら距離が延びても楽しみ」と次なる決戦へ視線を向ける。
 チケットだけではなく、手応えもつかんだ。「パワーが必要な阪神は向くのかも。本番が楽しみになりました」と師が声を弾ませれば、渡辺も「スタートセンスが良くて思うように乗れる。もっとためれば、素晴らしい末脚を発揮してくれると思う。マイルでも大丈夫」と力を込めた。
 芦毛のパートナーとさらなる高みへ。桜の咲く日が待ち遠しい。