JRA初 白馬が優勝

うーん,このまま成長できる?

騎手らも興奮


 桜満開の春に合わせるかのように「白」馬が中央競馬で初めての「白」星を挙げた。1日、阪神競馬場の1R(ダート1800メートル)でホワイトベッセル(牡3、栗東安田隆厩舎)が2番人気に応えて快勝した。

 白馬が初めてJRAの競走で勝つ−その瞬間を期待するファンが大きな声援を送る。これに応えるかのように手ごたえ良く4コーナーを3番手で回ったホワイトベッセルは、直線でぐいぐい伸びた。きれいに差し切ってゴールを駆け抜けると、手綱を取った川田将雅(ゆうが)騎手(21=フリー)からはガッツポーズが出た。G1や重賞ならまだしも1Rでは珍しい。「いやぁ、気持ちいい! 重賞くらいに興奮した(笑)。なかなかの勝ちっぷり」と胸の高ぶりを抑えきれないように話した。安田隆師も「感動したね!」。

 ベッセルは、あのディープインパクトと同じ金子真人HDの所有馬。今年2月の京都競馬でデビュー。いきなり3着に好走し、次走への期待が高かった。担当の佐藤孝一助手は、上から下まで白ずくめのいでたちでゲンをかついだ。

 白毛馬は生まれること自体が珍しい。体質的に弱いとされるが、芦毛(あしげ)の怪物クロフネと、白毛シラユキヒメの間に生まれたベッセルは、そんな定説を覆した。

 82年にハクタイユーが日本で初めて出走。97年に大井競馬でデビューしたハクホウクンが3勝を挙げたほか、地方競馬では白毛馬による勝利が13回、記録されている。

 しかしJRAでの勝利はなかった。過去5頭の白毛馬がレースを走り、ベッセルの母シラユキヒメが01年5月の福島競馬で3着に入ったのが最高。その息子がデビュー2戦目で白星を手にした。「順調にいけば次も好勝負になる。ファンの皆様にはぜひ競馬場で生で応援していただきたい」(川田騎手)。

 オーナーの金子真人氏(馬主登録名義は金子真人HD)は、母シラユキヒメシラユキヒメと父ブラックホークの間に生まれた白毛シロクンの馬主でもあった。それだけに白馬でのJRA勝利は、密かな「悲願」であったに違いない。

 白蛇、白虎、白鷹、白鹿…。白い動物は吉兆とされている。なにかと落ち着かぬ世相の中、白馬君が活躍すれば、世の中もよくなる?