天皇賞・秋 ウオッカが1番人気

天皇賞・秋  ウオッカが1番人気

 ウオッカ(牝4、栗東・角居)が古馬の頂点を視界にとらえた。栗東坂路で行われた最終追い切りで、馬なりの単走ながら力強い脚取りを披露。時計も4ハロン52秒2−12秒5と申し分なく、武豊騎手(39)は2着に惜敗した毎日王冠の雪辱に意欲を燃やしている。

 ウオッカ武豊騎手を背に万全の動きを披露した。まだ暗い坂路に姿を現し、単走での追い切り。馬なりのままだったが、大きなフットワークで完調をアピールした。もともと使われて上昇するタイプ。4ハロン52秒2、1ハロンごとのラップは14秒7−12秒8−12秒2−12秒5と、ほぼ理想的な時計だった。毎日王冠を使ってガス抜きされ、順当に上向いている。武豊は「52秒くらいで、という指示。本当に、いい動きだった。前走よりもリラックスしているし、自分が乗った中では一番いい」と、確かな手応えを感じていた。

 秋初戦の毎日王冠では、ハナを切って2着。スーパーホーネットの目標にされたが、武はスタートをあえて出している。「最初から決めていたわけではない。スタートが良ければ、あの形(ハナ)も考えていた。最後に先頭に立っていなければならないんだけど」。2着という結果には、納得していない。だが、テンに行けるスピードがあることは証明した。上がり3ハロンを33秒8でまとめており、レース内容としては、かなり濃いものだ。前走でついてこなかった結果は、本番に取り返せばいい。

 ドバイ帰り初戦のヴィクトリアマイルこそ中団に控えたが、ドバイデューティフリー安田記念、前走の毎日王冠と先行、逃げの競馬が続いている。角居勝彦師(44)は「古馬の一線級と走ると、後ろからでは届かないから、こういう競馬も取り入れたい。前めでタメて、はじける競馬ができれば。状態もあん上もいいし、素晴らしいメンバー。期待に応えられると思う」と胸を張っていた。

 先行する競馬は、古馬の一線級に勝ち切ることのほかに、近い将来に控える世界相手の戦いを見据えたものだ。目の前の目標だけでなく、長期的な展望を持つ角居厩舎。天皇賞を取ることで、その先の道も見えてくる。武は「今回はどういうレースをするか? ほかのジョッキーも見ているからね。スタートしてからのお楽しみってことで」と笑顔で締めた。内容、結果ともに求められる。重要な一戦となる。