ハンソデバンド重賞初の“Vゴール”

ハンソデバンド重賞初の“Vゴール”

 クラシックを占う「第44回共同通信杯」が東京競馬場で行われ、3番人気ハンソデバンドが好位から直線も粘り切り、3連勝で重賞初制覇。春のG1戦線の主役候補に名乗りを上げた。

 内外離れたゴール前。ハンソデバンドを管理する尾形師は「残っているか?」と不安げな表情を浮かべ、蛯名も「差されたかなと思った」。一見、外のダノンシャンティが優勢。ところがどっこい、残っていた。ハンソデバンドが持ち前のド根性で重賞初制覇。蛯名は「掲示板を見て“勝ってる〜”と…」と、その根性に驚いてみせた。

 馬名の由来は、冬でも半袖でプレーするサッカー元日本代表FW播戸(C大阪)。闘志あふれるプレースタイルが売りの選手だ。オフサイドトラップなど、サッカー関連の命名が多い渡邊隆オーナーは「気持ちのある選手はいいよね。ああいう人間がうちの社員にいたらいいなと思って命名した」と説明。その思いに応えるレースぶりだった。渡邊オーナーは98年にエルコンドルパサー共同通信杯を快勝したが、降雪によるダート変更でグレード外競走。同馬の98年ジャパンC以来となる重賞Vに「来る前にエルコンドルパサーの写真を見てきたよ」と満足げな笑みを浮かべた。

 初騎乗の蛯名も好騎乗でVを“アシスト”した。1000メートル通過61秒6のスローペース。「なだめるのが大変だった」と何とかこらえさせて2番手を追走。直線は早めに抜け出して2強の追撃を封じ込んだ。「フットワークがいいし、まじめな馬。今後が楽しみ」と能力を高く評価した。

 これで未勝利から3連勝。デビュー2戦は2着に惜敗したが、尾形師は「どっしりしてきているし、学習能力が高い。もうちょっと伸びしろがあると思う」とさらなる成長にも期待を寄せた。ただし、気性的に距離延長には不安もあるため、今後の路線は定まっていない。「1年に1回だから皐月賞に行くか、NHKマイルCか。来週、オーナーと話し合う」と尾形師。いずれにしても、軽快な先行力と、たぐいまれなる勝負根性でG1戦線をわかせる存在となりそうだ。