ラブミーチャン、チャンス十分!馬任せで12秒0

 桜花賞トライアル、報知杯フィリーズレビュー・G2(14日、阪神・芝1400メートル)へ向け9日、昨年のNAR年度代表馬に選ばれたラブミーチャン笠松柳江厩舎)が岐阜・笠松競馬場で追い切りを行い、直線強めに追われ5ハロン64秒2の好時計をマークした。一方、中山牝馬S・G3(14日、中山・芝1800メートル)には桜花賞の有力候補アプリコットフィズの姉コロンバスサークルが出走する。

 桜の切符がかかる大一番に向けて、豪快な最終デモだった。午前7時、ラブミーチャンは雨が降りしきる笠松競馬場のダートコースに登場。ゆっくりと歩いて1周約1100メートルの馬場を1周した後、2周目はキャンターで気負うことなく周回した。

 そして迎えた3周目。一気にペースを上げる。自分のリズムで、気分よくラップを刻んでいき、直線へ。鞍上の浜口が重心を少し前に傾けると、さらに加速。回転の速いパワフルな走りで、砂を蹴り上げながら馬場のど真ん中を駆け抜けた。

 5ハロン64秒2―12秒0。脚抜きのいい馬場だったとはいえ、普段は5ハロン66秒前後の追い切りで実戦に向かうラブミーチャンにとっては速いタイムだ。だが、“出した”のではなく、馬任せで自然と“出た”時計。「いつもより1、2秒速くなったが、流れに乗って時計が出たならそれはそれでいい。アピールする意味での時計ではなく、スムーズに走ってなら納得です」と柳江調教師の表情は明るい。

 手綱を執った浜口も、状態の良さを感じ取っていた。「思ったより時計は出たけど、さっと流す程度でこの時計。動きはいいと思います。反応も良かったし、問題はない」と好感触を口にした。

 ダートで6戦6勝。昨年は、2歳馬として史上初のNAR年度代表馬となった。砂の女王にとって今回は初めての芝だが、「軽快なのでスピードも出ている。身のこなしもいいし、動けるのでは」と柳江師。浜口も「身のこなしが柔らかいので。ゲートさえ普通に出れば」と対応は可能と見る。

 トライアルでも狙うのは華麗な逃げ切り。「(小林祥晃オーナーに)ぜひハナに行って勝ってくれと言われているので、そのつもりで乗ろうかな」と浜口。95年には笠松ライデンリーダーが勝って、桜花賞の切符を手に入れた。当時の鞍上は浜口と同じ生年月日の安藤勝だった。15年前に同期が脚光を浴びた舞台で、ラブミーチャンを桜の舞台に導いてみせる。