フィールドベアー破格の6F78秒9

 夏の函館を飾る名物ハンデ重賞「第46回函館記念」の追い切りが行われた。悲願の重賞初Vに挑むフィールドベアーは、今週から復帰する秋山真一郎騎手(31)を背に“Wコース2周”の猛リハーサル。08年函館記念2着など、連対率80%の“函館の鬼”が、区切りの通算50戦目でタイトル奪取の最大の好機を迎えている。

 大一番。今週から戦列復帰する秋山を背にしたフィールドベアーの最終追いは鬼気迫るものがあった。角馬場で入念にウオーミングアップを積むと、Wコースをまず1周。正面スタンド前からそのままピッチを上げ、1F13〜14秒台をビュンビュン刻んだ。6F全体78秒9はコーナーがきつく、時計が掛かる函館のWコースでは破格。それでいて、ラスト1F13秒2と最後まで踏ん張り切った。

 引き揚げてきた秋山からはさわやかな笑顔が広がった。「体重が増えると良くないタイプなので、レースの週もしっかりと追った。最初からいい速さを保ったので、さすがに最後は脚が上がり気味だったけど、これだけ動けば十分。前走(函館競馬場グランドオープン記念4着)も良かったけど、さらに良くなった。僕のケガ?体の方はもう大丈夫です」

 先月27日の函館4Rで落馬し、肋骨骨折と腰部の横突起にヒビが入る負傷を負った秋山は大切なお手馬のために、函館記念の週での復帰に全力を尽くした。18日の追い切りに続き騎乗した秋山に、84年ジャパンCを制したカツラギエースを手掛けた原園厩務員は「秋山、加減したらあかんで!!」と送り出した。「走りが変わってきたね。前回とは全然違う。ここまでやってくれて良かったよ」と大ベテランは目尻を下げた。

 区切りの50戦目。通算成績【3502】と相思相愛の函館こそ、悲願の重賞Vには最高の舞台だ。「ジョッキーが復帰してくれたのが何より。秋山しかいない馬だから。秋山のガッツポーズが見たいね」と原園厩務員がこん身の仕上げで送り出せば、秋山も「重賞を獲らせてあげたい。何とか、ね…。何とか」とただならぬ闘志で恩返しを誓っていた。