スマートギア全開!

落馬による左鎖骨遠位端骨折などで休養していた武豊騎手(41)=栗東・フリー=は28日、栗東トレセンで3頭の調教に騎乗。負傷前と変わらぬ手綱さばきに笑顔のオンパレード。土曜(31日)こそ自重するものの、日曜(8月1日)の小倉での復帰にGOサインを出した。スタートは2鞍の予定で、この日は小倉記念でコンビを組むスマートギアが坂路で文句なしの動き。「チャンスはある」とスーパースターを喜ばせた。

 自慢の末脚を極限まで磨き上げた。スマートギアの追い切りをつけた猿橋助手は、いよいよ今週から復帰する武豊に自信を持ってバトンをつないだ。「宝塚記念(7着)のあとは、ここが目標。動きはいい。全快祝いになってくれればいいけどな」

 坂路で単走。序盤から軽やかに弾む。スムーズに加速し、ラスト1ハロンから仕掛けた。無駄のない走りから、ギアはさらに一段階上がる。余力たっぷりにラスト1ハロン12秒5をマーク(全体の時計は52秒1)。ほれぼれする動きで、万全の態勢をアピールした。

 宝塚記念は、前日の雨が残る苦手とする馬場(やや重)。不完全燃焼だった。「鞍上(和田)は、ノメッていたといっていた。パンパンの良馬場で切れ味を生かしたい。本当は外回りのような直線が長い方がいいけど、小回りでも金鯱賞(中京)で3着。その上位2頭が出ていないのなら」と猿橋助手。

 武豊はこの日、スマートギアにはまたがらなかったが、3頭の追い切りを違和感なくこなし、小倉記念を心待ちにする。「未勝利からずっと乗り、いつかは重賞を、と思っている馬。あと一歩のところまで来ているからね」と年頭の京都金杯(2着)以来の手綱に燃える。

 武は、この小倉で歴代最多の重賞10勝をマーク。さらにJRA通算1000勝、重賞100勝、最多勝記録(岡部の持つ2943勝を更新)など、数々の大記録を打ち立てた。「小倉でフルゲートという条件は決してよくないけど、チャンスはある」。復帰初日から全開で勝利を目指す。