インパクト有馬目指し30日にも馬場入り

有終の美を飾れるか?

インパクト有馬目指し30日にも馬場入り


 有馬記念を目指すディープインパクト(牡4、栗東池江泰郎)が、30日にも馬場運動を再開する。池江泰郎師が28日、明らかにした。「レース日が近づいているので、早めに馬場に入れるつもり。おそらく木曜から角馬場あたりで乗っていくことになる」。過去のレース後は、引き運動やプールでリラックスさせてから始動するパターンが多かったが、引退レースということもあって早めの始動が決まった。
 JCの436キロはデビュー以来最低の馬体重だったが「この馬は体が軽くなっても走ってくれる。僕は調教で甘やかすタイプではないが、ハードな調教のたまものだったんじゃないかな」と同師。引退レースを勝てばシンボリルドルフテイエムオペラオーに並ぶG1最多7勝目。入魂の仕上げで、日本中のファンの声援に応えるつもりだ。




コスモベル 新馬→JFで連闘Vだ

阪神ジュベナイルF・G1」(3日・阪神)、センスあふれる走りでデビュー戦を飾ったコスモベルが、果敢に連闘で大舞台に挑む。西園師は、01年に7番人気のタムロチェリーで優勝。G1初制覇を決めた思い出のレースだ。現時点で出走は10分の8の抽選突破が必要だが、高性能外車でV奪取の野心を抱く。
 自らのシナリオを現実のものにした、強烈な中身。彩りが加わったことで、その手応えもさらに増したのだろう。コスモベルの鮮烈なデビューVに、西園師の胸は高まる。
 「勝てば、阪神JFに挑んでみたい。そう思って先週、デビューさせたんです。自分でレースをつくり、外を回ってねじ伏せた。あれだけ鮮やかに勝ってくれるとは、思ってもいませんでしたよ」
 1戦1勝のキャリア、そして連闘での参戦。手探りの面が多いからこそ、希望も膨らむ。「未知の魅力がありますから」。穏やかに笑う指揮官は、たっぷりの手応えと野心を抱く。
 フオーマルディナー(種付け料5万ドル=日本円で約600万円)を父に持つ外国産馬。米国のフロリダセールで見初めて以降、順調な過程を刻んできた。「日本に来ると、体(の線)が崩れる馬は多い。でも、この馬はそういうことがなかったんですよ。順調にきて、期待に応えてくれましたね」と振り返る。トレーニングセールで快ラップを刻んでも、購入後に下降線をたどるケースは多々ある。対照的に、コスモベルはしっかりと上昇線を描く。
 現在の阪神JFにレース名が変更されたのが、01年のこと。その年、7番人気のタムロチェリーで鮮やかなVを決めたのが、西園師だった。開業4年目で初めてもぎ取った、メモリアルウイン。「やっぱり、思い入れがあるレースですよ。目の覚めるような走りをしてくれれば-」。新装なった仁川のステージに、大望を抱いて送り出す。




ダーレー・ジャパンがJRAに上申書提出

 中央競馬の馬主登録認可を求めるダーレー・ジャパン・ファーム(有)が、22日付でJRAに上申書を提出していたことが28日、明らかになった。馬主登録却下の決定に対してはすでに9月4日付で異議申し立てを行っているが、JRAからは却下の法的根拠について何ら説明がないため、その開示を強く求めた。
 ダーレー側の荒井紀充弁護士は10月下旬と今月中旬の2度、JRA審査部と話し合いを持った。その際、登録拒否処分について、競馬法及び競馬法施行規則における根拠となる条文は一切明らかにされなかった。上申書では「根拠条文の開示すら拒否することは極めて不当」と抗議し、法的根拠を明らかにするよう要望している。
 7月の馬主登録審査では財務内容の不備等が拒否理由とされたが、債務超過や経常利益の赤字は拒否事由として明記されていない。有形固定資産13億円以上を有するのだから、むしろ財務状況は安定している。「既存馬主の権益を保持するために、理屈なしに外資を拒否している。裁量権の乱用。問題を提起し、不透明さをあぶり出したい」と荒井弁護士は語った。
 今後は馬主資格審査委員会、同審査会で話し合われた事実を解明するため、議事録の提出や委員らの参考人陳述を求めていく。パート1国に承認されて国際的な責任も重くなった日本が、背後にドバイのオイルマネーを持つ同ファームにどのように対応するのか注目される。




イクスキューズ切れる/阪神JF


 ファンタジーS2着のイクスキューズは落ち着きを増しており、気性面での成長が目立つ。前走は外寄りの9番枠に回ったため他馬の後ろにつけて前を壁にすることができず折り合いを欠いたのが敗因。芝1500メートル戦のクローバー賞をレコード(1分29秒3)で勝っているようにマイルへ距離が延びるのは歓迎だ。藤沢和師は「開幕週で芝もいいだろうし、この馬の切れ味を生かせるようなレースができれば面白いんじゃないかな」と話した。




ハーツ引退、正式決定…ディープ負かした唯一の日本馬

 ハーツクライ(牡5歳、栗東・橋口厩舎)の現役引退が28日、正式に決まった。橋口調教師が、生産者で社台サラブレッドクラブの代表を務める吉田照哉氏と協議したのち、明らかにした。

 26日のジャパンCで2番人気に支持されながら、喘鳴(ぜんめい)症の影響で大差の10着に敗退。去就に注目が集まっていた。来年からは、北海道安平町の社台スタリオンステーション種牡馬生活を送る。

 同馬は、昨年の有馬記念ディープインパクトを半馬身差で破り、GI初制覇。7戦無敗の怪物に初めて土をつけた馬として、トップホースの地位を確立した。

 5歳になった今年は海外に活躍の場を求め、3月にドバイ・シーマクラシック・G1を快勝。7月には、伝統の英GI・キングジョージ6世&クイーンエリザベスDSに挑戦した。結果は3着だったが、ハリケーンランエレクトロキューショニストという強豪と壮絶な叩き合いを演じ、その名を強烈にアピールした。

 帰国後は、ジャパンCを目標に調整していたが、14日に橋口師がのど鳴りの事実を公表。その影響が懸念される中でのレースとなった。結果は10着。「これ以上イメージを壊してしまうのなら、引退させてあげたい」というトレーナーの思いを吉田代表も受け入れ、現役生活にピリオドを打つことが決まった。

 有馬記念でのディープとの最終決戦は見られなくなったが、次は種牡馬としての戦いが待っている。欧州のビッグレースを勝てる馬を…。“第二の人生”への期待も大きい。

 橋口調教師「のど鳴りがジャパンCの敗戦につながったのは間違いないし、息づかいが全然違っていた。やり残したことはあったけれど仕方がない。これが現実です」

 社台サラブレッドクラブ・吉田照哉代表「有馬記念までは…と考えていたが、ジャパンCの後、かなり苦しがっていたそうなので、引退を決めた。のどさえ悪くなければ、もっと走れたと思うが、ここまで頑張ってくれて、本当に感謝している。種牡馬としての活躍を期待したい」



カメオ一歩一歩前へ…12月3日・阪神JF

 関東馬が、強力な布陣で阪神に乗り込む。GI馬ブラックホークの妹ピンクカメオに、抜群の切れ味を誇るハロースピード…。7頭のいずれも魅力十分だ。不動の本命とみられるアストンマーチャンを脅かす“東の包囲網”。1〜6着を独占したマイルCSの再現があるかもしれない。

 派手さはないが、着実に階段を上っていく。ピンクカメオは、秀才型の競走馬だ。前々走のマリーゴールド賞は、ハロースピードの強襲を受けて2着。やや決め手に欠ける部分を見せたが、続くくるみ賞で、すかさず修正。タイミングを遅らせた蛯名の仕掛けに反応して2勝目を挙げた。

 「前は捕まえられると思っていたので、余裕を持って追い出した。しっかりしてきているね」と蛯名。半馬身という着差以上の強い内容に、国枝調教師は「勝負強いね。間隔があいて体が成長していた(プラス6キロ)し、内容も良かった」とG1参戦を即断した。

 兄は、同じ国枝厩舎でG12勝を挙げたブラックホーク(父ヌレエフ)。トレーナーは「兄はモサモサする面を見せていたけど、お父さんがフレンチデピュティに替わったこともあって、こちらは前向きだね」と話す。兄は5歳暮れのスプリンターズSでG1初制覇。晩成タイプだったが、こちらは早くから大きな仕事ができる下地を備えている。

 舞台は、新装・阪神芝コースの外回り1600メートル。473・6メートル(Aコース使用時)に延びた直線は、そのまま来春の桜花賞に直結する。「広いコースはいいんじゃないか。フェアな競馬ができるし、叩いた上積みも見込めるからね。長距離輸送も新潟にも行っているし、問題ないと思う」血統馬だからこそ、力がストレートに反映される条件は大歓迎。東の実力派がベールを脱ぐ時がやってきた。


 約3カ月ぶりの前走くるみ賞を快勝し2勝目を挙げたピンクカメオが、さらに調子を上げている。馬体が一段と引き締まり気合乗りも申し分ない。前走のレース内容も馬群の中団をリズム良く追走し、直線で危なげなく抜け出した。兄ブラックホーク(父ヌレイエフ)から父がフレンチデピュティに変わったため「2歳時の完成度ではピンクカメオの方が上」(国枝師)という。



差す競馬覚えハローお目覚め…12月3日・阪神JF

 福島の初陣が8馬身差。続く新潟のマリーゴールド賞でも2馬身差の快勝劇を演じたハロースピード。ファンタジーSはレコードで駆けたアストンマーチャンに6馬身半離された3着だったが、相沢調教師は黒星をプラス思考で受け止めている。

 「スタートで後手。道中はぶつけられたし、外にも振られた。1番人気でだいぶ、いじめられたかな。勝った馬は強かったけど、2着はあった。でも、結果的にためる競馬が教えられた」走りに幅を持たせるという意味では、いい経験だった。

 ニュー阪神のマイル戦は、コーナーが2つ。直線も長い。「タフなコースでコンディションも絶好。メンバーも前に行く馬ばかり。コース、距離、変わり身…。チャンスは十分にある」とトレーナー。鞍上に岩田を迎え、逆襲の態勢は整った。


 もう「西高東低」とは言わせない。ダイワメジャーの活躍で息を吹き返した関東馬が、阪神JF(G1、芝1600メートル、12月3日=阪神)でも台風の目になる。特にファンタジーS3着のハロースピード(牝、相沢)は、再三の不利があったもので巻き返しは必至だ。ここ目標に仕上がりは順調。マイルへの距離延長も望むところで逆襲への条件はそろった。
 相沢師の言葉に、雪辱への熱い思いが込められていた。「アストンマーチャンをとらえるか、そうでないかだけ」とライバルを1頭に絞り一騎打ちを挑む。同師が描く青写真はこうだ。
 決め手鋭いハロースピードが、直線で抜け出したマーチャンを中団から一気に差す。
 決め手勝負に持ち込めば負けない。目標が前にいる展開、阪神の外回り、長い直線。条件は好転した。
 前走のファンタジーSはスタート直後にリズムを狂わされた。ゲートを出た直後、すぐ隣のマーチャンが外へヨレたため接触。もちろん故意ではないが、アオったような形になりズルズルと後退。14頭立ての12番手まで下がり、後方からの追走を余儀なくされた。直線を向いたところでも他馬に挟まれ、外へ、外へ押し出される形に。惨敗もやむを得ないケースで、3着に押し上げた内容は評価していい。
 収穫もあった。馬込みで末脚を温存することを覚えたからだ。相沢師は「かなりキツい競馬をしたが、マイル戦へ向けては、あのような走りができたのは大きい」と振り返った。マイルへの距離延長が必ずしもプラスとは思えないマーチャンに対し、差す競馬が板についたハロースピード。前走からのプラスアルファはどちらが大きいかは、言うまでもない。さらに、フットワークがきれいなだけに、開幕週の高速馬場も強力な追い風になる。あん上に名手・岩田を配し「ニュー阪神」最初のG1制覇を目指す。



プレストウコウの馬主、渡辺喜八郎氏が死去

 26日、77年の菊花賞プレストウコウなどの馬主として知られる渡辺喜八郎氏が、胃ガンのため死去したことがわかった。84歳だった。

 渡辺氏は元都トラック協会常任理事、元都馬主会副会長理事。馬主としては過去にプレストウコウ(77年菊花賞)、トウコウエルザ(74年オークス)、ホスピタリテイ(82年セントライト記念)、ワカタイショウ(90年中山大障害・秋)などの活躍馬を所有した。長男の隆氏は、エルコンドルパサー(サンクルー大賞典-仏G1、ジャパンC-GI)、オフサイドトラップ(天皇賞・秋-GI)らの馬主。

 葬儀は29日正午、築地本願寺第二伝道会館(中央区築地3-15-1)で執り行われる。喪主は長男の隆氏。



新装阪神でレースはさらに激しく!

 「阪神ジュベナイルF・G1」(12月3日・阪神)、右回りコースでは日本最長の1周2089メートル。春の開催を終えた後、改装工事に入った阪神競馬場は、総工費約60億円をかけて変ぼうを遂げた。従来のおむすび型から、だ円に近い形へ。芝の外回りコースが新設され、真の実力が発揮できる、また発揮しなければ勝てないコースに生まれ変わった。
 阪神JFが行われる芝のマイル戦も大きく変わった。この距離も、新しく設けられた外回りの設定だ。スタート地点が1角のポケットから、向正面へと移動。最初のコーナーにたどり着くまでに走る直線は、444メートルと十分に距離がある。旧コースでは、スタート直後に2コーナーに差しかかる設定で外枠が不利だったが、どの枠順でもスムーズなレースができるようになった。
 そして、3〜4コーナーのカーブは、東京より長い682メートルで日本一。最後の直線も474メートルと長くなるが、ゴール前の急坂はこれまでと変わらない。長い直線とゴール前の急坂。最後の攻防も激しさを増すこと間違いなし。力と力がぶつかり合い、せめぎ合う。迫力満点のレースが期待できる。馬の力、騎手の技量が思う存分に発揮できる舞台。アストンマーチャンにも、そして手綱を握る武豊にも、申し分のない舞台設定だ。