ハーツクライ引退、種牡馬入り

お疲れ様でした。

 JRAは29日、26日のジャパンC(GI)で10着に敗れたハーツクライ(牡5、栗東橋口弘次郎厩舎)について、30日付で競走馬登録を抹消、引退することになったと発表した。今後は種牡馬入りする予定だが、繋養先などは未定。

 ハーツクライは、父サンデーサイレンス、母は95年新潟大賞典(GIII)、新潟記念(GIII)を勝ったアイリッシュダンス(その父トニービン)という血統。04年の京都新聞杯(GII)で重賞初制覇し、続く日本ダービー(GI)でキングカメハメハの2着。その後も05年宝塚記念(GI)でスイープトウショウの2着、ジャパンCではレコード勝ちのアルカセットにタイム差無しのハナ差2着とGIレースで好走を続け、05年有馬記念(GI)で無敗の三冠馬ディープインパクトに初黒星をつけるとともに、自身の初GI勝利を達成した。今年は、ドバイシーマクラシック(首G1)を2着に4.1/4馬身差をつける圧勝で、日本馬として初めてドバイのG1を勝つ快挙。続くキングジョージ6世&クイーンエリザベスDS(英G1)ではハリケーンラン Hurricane Runの3着と、世界を舞台に活躍した。約4か月ぶりとなった26日のジャパンCは2番人気に推されたが、ディープインパクトから2.6秒差の10着に大敗していた。通算成績19戦5勝(海外2戦1勝、重賞3勝)。




ハロー控えめも予定通り

 ファンタジーS3着からの巻き返しを期すハロースピードは2歳未勝利のノムクルーズとの併せ馬で最終追い切りを行った。徐々にスピードを上げ、3コーナーからノムクルーズの外に馬体を併せにかかる。両馬ともに手応えは余裕十分。直線残り200メートルでハローが鼻面をピタリと並べると、ともに譲らないままゴールを駆け抜けた。

 相沢師は「全体の時計(5F68秒7)は遅かったが予定通り。いい感じに仕上がったと思う。前走はレースで2度ぶつけられたし、それを考えればいい内容。今度は人気にならないし思い切った競馬で結果を出したい」と巻き返しを期していた。



高級車マーチャン優雅に加速

 「第58回阪神JF」の追い切りが29日、美浦栗東トレセンで行われ、小倉2歳S、ファンタジーSを連勝したアストンマーチャンが迫力満点の走りを披露。2歳女王へ前進した。

 軽快な脚さばきが絶好調を物語る。坂路で行われたアストンマーチャンの最終追いは、大人への階段を確実に駆け上がる少女の姿そのものだった。前半は抑えの利いた走りで1F14秒9→13秒6のラップを刻み、ゆったりと優雅にストライドを伸ばす。キョロキョロと物見をしながら、走りに集中できなかったデビュー当初とは別馬だ。残り2Fから軽く仕掛けられると、今度は馬体をグッと沈め12秒8→12秒2でフィニッシュ。滑らかな加速は、馬名のモチーフともなっている英国の高級車アストンマーチンを思い起こさせる。「しまい重点の指示通り。先週より時計の掛かる馬場なのに動きは今週の方が余裕があった。いいね」。理想的な追い切りに石坂師の口元が緩んだ。

 前走ファンタジーSは従来のレースレコードを0秒9更新する圧勝。積極策から押し切った小倉2歳Sから一転し、好位で折り合って直線で末脚を爆発させた。「距離が(1200メートルから1400メートルへ)延びることに正直不安があった。まず折り合いと考え、(武)豊君には控えてくれと頼んだ。理想通りのレースだったが、あまりに強いので驚いた」と石坂師。「あの競馬ならマイルでも大丈夫。今回は何も心配していない」と話す表情は確信に満ちている。

 先週のJCダートをアロンダイトで優勝し、厩舎も勢いに乗っている。「人も馬もいい雰囲気で臨めるのが何より」と師。「夏場はポッチャリした体形だったけど秋になって背が伸びたし、いい筋肉がついてバランスがよくなった」と肉体面の成長も強調する。目標はもちろん来年の桜花賞。「同じコースの今回で結果を出したい。辛抱することを覚えたのは心強いよ」と力が入る。精神面でも肉体面でもタフさを身につけた快速少女が、新装なった仁川のターフを全速力で駆け抜ける。




ナイキアースワーク船橋に移籍

 JRAは29日、今年のユニコーンS(GIII)の勝ち馬ナイキアースワーク(牡3、栗東大久保龍志厩舎)が、同日付で競走馬登録を抹消したことを発表した。今後は地方の船橋競馬に移籍する予定。

 ナイキアースワークは父ブライアンズタイム、母マジカルウーマン(その父パラダイスクリーク)という血統。伯父に95年クリスタルC(GIII)を制したコクトジュリアン、98年京阪杯(GIII)を制したブラボーグリーンがいる。昨年12月のデビュー勝ちからダート戦線で安定した走りを続け、重賞初挑戦となったユニコーンSでは2着に4馬身差をつける快勝劇を演じた。その後のジャパンダートダービー(交流GI)、ダービーグランプリ(交流GI)ではともに1番人気に推されるも、それぞれ4着、6着に敗れていた。通算成績9戦3勝(うち地方2戦0勝、重賞1勝)。



復活期すポジション/ステイヤーズS

 古豪グラスポジション(牡7、尾形)が、中山開幕週のメーン、ステイヤーズS(G2、芝3600メートル、12月2日)で復活を期す。一昨年の2着馬だが骨折や放牧などで1年2カ月も休養。今春も1戦しただけで、やっと9月のオールカマー(12着)から前走のアルゼンチン共和国杯(9着)と順調に使い込めるようになった。26日には美浦の坂路で800メートル53秒8、600メートル39秒0で追われるなど、体調面も確実に上向いている。尾形師は「26日の日曜追いもチップがボコボコして悪い馬場コンディションだったが、上がり39秒を出しているからね。普段のしぐさでもチャカチャカしだして、いい時の雰囲気。この分なら恥ずかしい競馬はしないと思っているけどね」と手応え十分だった。