スカーレット故障 引退の可能性も

スカーレット故障 引退の可能性も

 有馬記念ダイワスカーレット(牝5、栗東・松田国)が12日、左前脚球節の不安でフェブラリーS(G1、ダート1600メートル、22日=東京)を断念した。右目の外傷で回避した昨年に続くアクシデントで初のダート参戦はかなわず、3月28日のドバイWCも絶望。今後の症状次第では、引退の可能性も出てきた。

 栗東に衝撃が走った。トレセン事務所で開かれた緊急会見で、フェブラリーSの主役ダイワスカーレットの回避が発表された。松田国英師(58)は「いいニュースではないですが、少し話をさせてください」と、淡々とした表情で口を開いた。

 故障判明は12日午前5時半ごろ。「追い切り後に左前肢に若干熱があるとは思ったが、疲れなどいろいろなことが考えられた。朝になり左前球節上部に球節軟腫ができ、球節下部には痛みも出てきた」と症状について説明。エックス線検査では骨には異常がなかったが「来週に向けて支障があるのでフェブラリーSは使わない」と回避を明らかにした。全治などは今後の精密検査を待つことになる。「使わないという時点で簡単には治らない気がしている」と重症を懸念する見解を示した。

 11日の1週前追い切りでは6ハロン81秒6−12秒0の好タイムをマーク。先行した牡馬2頭を馬なりで突き放す豪快な動きを見せていた。この中間、馬場入りをごねるしぐさも見せてはいたが、11日は1度も嫌がる様子はなかった。馬場入り拒否と故障との因果関係について問われると「昨日(11日)はスムーズに行っていたわけだから」と、この時ばかりは語気を強め、関連を否定した。

 来月に迫ったドバイWC参戦は絶望的。昨年も坂路調教中に右目に外傷を負いフェブラリーSを断念、同時にドバイ遠征を取りやめた経緯がある。昨春の大阪杯を勝った後に骨りゅうが出た脚と同じ左前。今後は厩舎で様子を見るか、あるいは放牧に出すかを含めてすべて白紙の状態となった。

 グランプリを制し、デビュー以来の連対記録も12に伸ばしたダイワスカーレットも今年で5歳。引退の可能性について松田国師は「馬主さんの財産であり、夢という意味ではファンにとっても財産。今後の状況が分かってからになるので、すぐに抹消するなどとは言えない」と保留した。引退も含めてオーナーサイドと話し合いが持たれる。

 大城オーナーと共有する社台ファーム吉田照哉代表は1月のJRA賞授賞式で「世界で戦ってみたい。こういうチャンスを逃してなるものかという気持ち」と熱い思いを語っていた。世界制覇の夢はついえてしまうのだろうか。