ダイワスカーレットが引退

ダイワスカーレットが引退

 昨年、牝馬として37年ぶりに有馬記念を制し、今季は海外遠征を視野に入れていた女傑ダイワスカーレット(栗・松田国、牝5)が16日、大城敬三オーナーと生産者の吉田照哉社台ファーム代表の会談の結果、現役を引退することが決まった。

 ダイワスカーレットフェブラリーS(22日、東京、GI、ダ1600メートル)を目標に調整されていたが、12日に左前脚の浅屈腱炎を発症。同レースを回避し、今春の最大目標であったドバイ・ワールドC(3月28日、ナドアルシバ、ダ2000メートル)への出走も断念した。

 同馬を管理する松田国英調教師は「これだけの馬ですので、引退することになったのは非常に残念です。昨日、山元トレセンからの連絡で、球節は痛くない状態で、ウォーキングマシンの運動をはじめるという報告を受けています。痛くない状態で、繁殖として牧場に戻せることになってほっとしています。ダイワスカーレットの子供たちが楽しみです」と、繁殖に期待を込めたコメントを残した。

 オーナーの大城敬三氏は「引退という結果になって、大変残念に思います。今後は、スカーレットの2世がまたターフで活躍することを期待しています。現役の間、全国のファンの皆様から暖かい応援をいただきましたことと、競馬関係者に対しまして、深く感謝いたしております」と語った。

 社台ファーム吉田照哉代表は「今年一年は競走馬として、フェブラリーSをはじめ、海外へも挑戦させたいと考えていたので、大変残念です。牝馬として37年ぶりに有馬記念を勝ってくれたことに大変感謝しています。これだけの馬なので、繁殖牝馬として素晴らしい子供を出してくれることを期待しています」と引退を惜しんだ。

 また、注目が集まる初年度の交配相手は、今年から日本で種牡馬となるフランス馬チチカステナンゴに決定した。チチカステナンゴは現役時代、パリ大賞典(仏GI)、リュパン賞(仏GI)など通算14戦4勝。種牡馬として仏ダービー馬ヴィジョンデタなどを輩出し、08年度仏総合種牡馬ランキングでは4位に入った。

 ダイワスカーレットは父アグネスタキオン、母スカーレットブーケ、母の父ノーザンテーストという血統で、半兄に皐月賞天皇賞・秋安田記念などGI5勝のダイワメジャー、近親にはダートGI6勝のヴァーミリアンなど重賞勝ち馬がズラリと並ぶ“華麗なる一族”。

 JRA通算12戦8勝、2着4回のパーフェクト連対で、GIは桜花賞秋華賞エリザベス女王杯有馬記念の4勝。生涯獲得賞金は7億8668万5000円。