ヴァーミリアン9冠!豊スマイルはじけた

ヴァーミリアン9冠!

 2010年最初の交流G1「第59回川崎記念」は27日、川崎競馬場で行われ、単勝1・3倍の断然1番人気に推されたヴァーミリアンが、逃げたフリオーソを首差で競り落とし、3年ぶり2度目の同レース制覇。自身の持つ国内G1最多勝記録を「9」に伸ばした。今後は連覇の懸かる帝王賞(6月30日、大井)で前人未到のG1・10勝目に挑む。

 さすがは歴戦の雄。武豊ヴァーミリアンの熟練のレース運びにファンは酔いしれた。スタート直後は好スタートから一瞬ハナへ。フリオーソデムーロが必死に手綱を動かし、1周目3コーナー過ぎで何とか先頭に立ったが、ヴァーミリアンは終始2番手で大名マーク。直線を向くとすぐゴーサインを出し、首がグイッと出たところがゴール。2分12秒7は従来の記録(2分12秒8=04年エスプリシーズ)を6年ぶりに塗り替えるレコード。自身の持つ国内G1最多勝利数を「9」に伸ばした。

 よほど、うれしかったのだろう。武豊は何度も何度もガッツポーズを繰り返した。「行ってもいいぐらいの気持ちでいたが、向こう(デムーロ)が主張してきたので2番手から。いい形で運べたし、ずっと乗っている馬なので彼を信頼していた。前2戦(JCダート8着、東京大賞典2着)が不本意だった分、どうしても結果が欲しかった。G1・9勝?頭が下がります」

 石坂師にとっても会心の勝利だ。指揮官は「ここでは負けられないと思っていた。ジョッキー(武豊)も前が有利な馬場を意識して、うまく乗ってくれた。最後?何とかかわしてくれ…と。強かったですね」と安どの表情で振り返った。

 思えば、3年前の川崎記念でG1初勝利。それが今では9個目。歴代2位のシンボリルドルフテイエムオペラオーディープインパクトウオッカ(いずれもG1・7勝)に2勝差をつけ、前人未到の記録更新の挑戦が続く。28日、宮城・山元トレセンに放牧に出て、距離不足のフェブラリーS(2月21日、東京)は見送る方針。石坂師は「ここまできたら、G1・10勝目を何とか目指したい。次は帝王賞になると思う」と早くも指針を語った。第一人者・武豊にとっても、幸先の良いスタート。「馬も元気で若いし、まだやれる。僕自身も今年最初のG1を勝ててうれしい」と豊スマイルがはじけた。円熟の名コンビが、ダート界を今年も熱くしてくれそうだ。