エスポワール楽勝 さあドバイへ!

フェブラリーS


 第27回フェブラリーS・G1(21日、東京競馬場、ダート1600メートル、良) 今年最初のG1レースは、2番手追走から直線で早々と先頭に立ったエスポワールシチーが、後続を寄せつけず圧勝。1番人気に応え、同馬とのG1連勝を4に伸ばした佐藤哲三騎手(39)は、3月27日のドバイ・ワールドC(メイダン競馬場オールウェザー2000メートル)参戦に強い意欲を見せた。また、1月11日の落馬事故で左腕を骨折し、この日復帰した内田博幸騎手(39)騎乗のサクセスブロッケンは3着だった。

 ガシャ! マンモススタンドを揺るがす大歓声の中、ゲートは開いた。エスポワールシチーは芝の部分で一瞬、ライバルに後れを取ったが、すかさず態勢を立て直す。逃げる最優秀短距離馬、ローレルゲレイロを追って最高の2番手をがっちりキープした。

 こうなれば、しめたもの。502メートルの直線は輝くVロードだ。佐藤哲の励ましに498キロの栗毛が見事に応えた。ムチを一度も振うことなく、後続に付けいるスキを全く与えない。内から猛追したテスタマッタに2馬身半の決定的な差をつける圧勝劇で、G14連勝。砂の王者の快進撃は、とどまることを知らない。

 単勝1・7倍。圧倒的な支持に応えて凱旋(がいせん)した人馬に、ファンは熱い声援を送った。「ホッとしたし、うれしい。さらに馬体が良くなった。エスポ君、すごいね」。39歳のベテランは、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 佐藤哲は発馬に全神経を集中させて大一番に臨んだ。「去年は速くないイメージがあったから、いつもと違う乗り方をしたつもり。スタートを中心に組み立てたが、うまく出てくれた。思っていた通りの競馬」。芝の部分での遅れを最小限にとどめ、逃げを主張したローレルゲレイロを先に行かせた鞍上のファインプレーだった。

 安達調教師は、昨年12月にジャパンCダートを制したあと、約2か月かけてみっちりと仕上げてきた。「長くいい脚を使えるし、あの展開は考えていた。ここ一本に絞って調整してきたが、結果が出て良かった」。

 さあ、ドバイ・ワールドCが待っている。安達師は「オーナーと相談し、OKが出れば」と慎重に言葉を選んだが、佐藤哲は「栗東のニューポリトラックコースで乗ってるし、深いダートも、軽いダートも大丈夫。ドバイで勝負をしてみたい。そういうレベルまできている。正式に出走が決まるのを楽しみにしている」と力を込めた。国内無敵チャンピオンの、世界制覇への期待は高まるばかりだ。