アリゼオ皐月へ復権

逃げて新境地!…スプリングS

 第59回スプリングS・G2(21日、中山競馬場、芝1800メートル、良) 皐月賞トライアルの第59回スプリングS・G2(21日、中山・芝1800メートル)は、果敢に飛び出した関東期待のアリゼオ横山典)が後続を寄せつけず、逃げ切って重賞初制覇を飾った。2着は10番人気の伏兵ゲシュタルト。ノンストップでのクラシック制覇を目指した昨年の2歳王者ローズキングダムは、3着に敗れた。上位3頭までに、皐月賞(4月18日、中山)の優先出走権が与えられた。

 後続の気配をうかがうゆとりはなかった。意表を突く逃げの手に出た横山典は、激しいアクションでアリゼオを励ました。「下が悪かったので、伸びている感じがしなかった。ローズキングダムはすぐ後ろにいると思ったので必死だった」。

 左手で手綱をしごき、右手はステッキを連打した。9Rから馬場は良に回復したが、ノリの拳に勝利を意識できるほどの手応えはない。それでも何とか踏ん張り、ゲシュタルトの追撃を1馬身差退けてゴールに飛び込んだ。

 昨年の2歳王者を3着に沈める見事な逃走劇で、今年早くも重賞6勝目。「出負けしたけど、二の脚が速かったので、すぐ行けた。あとは馬のリズムを大切に乗った」。名手の表情には、満足感が漂っていた。

 初めての騎乗でも、ホープフルS(1着)、共同通信杯(3着)でコンビを組んだルメールから特徴をしっかり聞いていた。「難しいところがあるから、なるべく並ばせないように走らせた。逃げたことで(気性面の課題が)解消されたと思う」。今年42勝目で、リーディングを独走(2位は武豊の32勝)する42歳の手綱が、この日もさえ渡った。

 共同通信杯の敗戦で、浮き彫りになった気性面の課題。そこは、スタッフがしっかりカバーした。「(あの時は)レース前に気負っていた」(橋本助手)ことから、パドックは2人で引き、メンコ(覆面)を着用。馬場入りもライバルより早め、落ち着きを保つことに務めた。

 2歳王者を倒しての皐月賞参戦に、期待は大きく膨らむ。「他にも強い馬がいるけど、力はあるので無事に行ってほしい」と横山。今年も絶好調の鞍上は、クラシック第一弾をしっかり視界にとらえた。

 >アリゼオ 父シンボリクリスエス、母スクエアアウェイ(父フジキセキ)。牡3歳の黒鹿毛。戦績4戦3勝。総収得賞金8840万9000円。重賞初勝利。生産者・北海白老町の(有)社台コーポレーション白老ファーム。馬主・(有)社台レースホース美浦堀宣行厩舎所属。