アポロン“究極仕上げ”で1番時計

これぞ“逆襲の仕上げ”だ。エイシンアポロンが究極の出来に達した。先週に続いて池添が乗って坂路でラッシュストリート(5歳オープン)を追走。残り400メートルの時点で2馬身ほどの差があったが、楽な手応えで追いつくと残り200メートル、並ぶ間もなく一気にかわした。ムチを使わず、手綱をたぐるだけで僚馬を2馬身置き去り。タイムは4F49秒8、1F12秒1。当然この日の坂路1番時計だ。ラスト2Fに11秒台を2本並べた7日の1週前追いに続く破格の時計に記者席はどよめいた。

 池添が力を込めて言う。「時計が出ているなと思ったが、まさか50秒を切っているとは…。追いつくどころか、あっさりかわした。これ以上ない究極の仕上げだと思う」。陣営は早くから皐月賞を大目標に設定してきた。弥生賞を使い、気持ちが乗ったところで出来をピークに持っていくのは、当初から描いていたプランだ。「前走はトライアル仕様の仕上げ。そんなにやっていない。今回は質量とも違う。メチャクチャいい状態で、負けるとすれば僕がミスするか、ほかに凄く強い馬がいた時だけだろう」。最高の感触を手にした池添は口調も滑らかだった。

 岡田師の自信も膨らんでいる。「しっかりやってほしいと指示して、その通りの申し分ない動き。いつもながらゾクッときた」と不敵にほほ笑んだ。2週連続の猛烈追いの陰には馬自身の成長がある。心身ともにたくましくなり、調教後も落ち着くようになった。「競走馬らしくなった」と指揮官は目を細めた。

 逆襲への準備は完成した。「何とかリベンジしたい。後にはダービーも控えるが、あくまでここに全力投球」(岡田師)。鍛え抜かれ、猛獣と化したアポロンが1冠の舞台でライバル17頭に襲いかかる。(特別取材班)