武、ダービー断念

ヴィクトワール鞍上は引き続き岩田

 落馬による骨折で戦列を離れている武豊騎手(41)=栗東・フリー=は16日、ダービー(30日、東京)の騎乗を断念することを明らかにした。同騎手は、皐月賞ヴィクトワールピサとのコンビ復活を目指していたが、痛めた左肩の状態が万全でないため、決断を下した。これにより同馬は、皐月賞に続いて岩田騎手が手綱を執る。

 白のポロシャツにジーンズというラフないで立ちで京都競馬場に現れた武豊は、「まず一番は、ダービーの騎乗を断念するということです」と切り出した。

 3月27日の毎日杯阪神)で、ザタイキに騎乗して落馬。左鎖骨遠位端骨折、腰椎(ようつい)横突起骨折、右前腕裂創などの重症を負った。手術は成功し、6日からはトレーナーのもと1日3時間のリハビリをこなしてきたが、納得のいく状態に戻るまでには、時間が足りなかった。

 「左肩のダメージが大きく、まだかなり制限されている。他のスポーツ選手にも聞いて、いろんな治療やリハビリにトライしましたが…。肩以外は、けがをする前と違わないんだけど」と武。まだプレートが入ったままの左肩がネックとなっている模様だ。

 ヴィクトワールピサの角居調教師と市川義美オーナーには、この日の朝、電話で報告した。「角居先生には、早く万全で戻ってほしいと言われました。自分のパフォーマンスを発揮する自信がない状態では、乗るべきではない。ダービーには戻りたいと思ってたんですが、残念です」。武がダービーで騎乗しないのは、92年以来18年ぶりになる。

 これを受け、角居師はオーナーと同馬の鞍上について話し合い、皐月賞で手綱を執った岩田に決定。岩田は「今回は、さらに責任重大ですが、一番強い馬はヴィクトワールピサだと信じて乗るだけ」と決意を語った。

 武は今後、復帰時期を決めず、万全の状態を目指してリハビリに専念。「ダービーに乗らないと決めたからには、じっくりと。次の阪神(6月19日〜)ぐらいには、と思うけど、急に乗れる状態になるかもしれないし、分からない」と話した。