シャンティ、折り合い「完璧」最強譲ラン

ダービー追い切り

“2冠”を目指すG1馬2頭は26日、栗東トレセンで最後の仕上げを行った。皐月賞馬で5連勝中のヴィクトワールピサは、Cウッドチップコースで迫力満点の走り。岩田がゴールを過ぎても気合を注入する妥協を許さぬ追い切りで、磐石の態勢だ。NHKマイルCの覇者ダノンシャンティは、坂路でしまい重点に気負いのない走り。松田国調教師と安藤勝は、04年キングカメハメハの再現を狙う。出走馬18頭と枠順は、27日に決まる。

 闘争心は、最後まで内に閉じこめた。坂路のラスト1ハロン過ぎ。安藤勝が、グッと抑え込んでいたダノンシャンティの手綱をわずかに緩めた。前を進んでいたモンテクリスエス(5歳オープン)に、スッと並ぶ。もう、これで十分だった。

 ビッシリ追われるパートナーとは対照的。雨を含み重くなった馬場をものともせず、馬なりのまま四肢の回転が増していく。ラスト2ハロン12秒7―12秒6(全体は53秒3)で同時にフィニッシュ。尻上がりに速くなったラップが、非凡な能力の証しだ。

 「前走(NHKマイルC1着)も、当週の調教をビッシリやったわけじゃなかったからね。同じリズムで走れたんじゃないかな」。手綱を執った安藤が納得の表情を浮かべると、見届けた松田国調教師も合格点を与えた。「非常にリラックスしているのは1週前と同じ。完璧な調教ができたんじゃないですか」。ダービーまでの期間は、折り合いを意識した調整。1週前、23日とゆったりコースで乗られ、この日の最終デモ。青写真通りに大一番を迎える。

  キンカメ再現 NHKマイルCのタイムは、1分31秒4。衝撃の日本レコードで圧勝した。「東京の1600メートルは、本当に強い馬が勝つコース。(ダービーは)たくさんの馬を使っていますが、この馬が一番強い、速いと思います」。トレーナーの期待は高まる一方だ。

 一方の安藤は、いつもと変わらない自然体。それが頼もしい。「僕は挑戦者の気持ち。ダービーは1度勝たせてもらっている。重いレースだけど、気楽に乗れる」。同じ松田厩舎のキングカメハメハで制してから6年。勝利の味を、そしてタイトルの重さを知る二人が、再び同じ道のりを歩んでいる。