プリンセス米の名手で一発だ

名手登場!

 阪神JFの木曜追いが30日、栗東トレセンで行われ、軽快な動きが目立ったのはクラウンプリンセス。鞍上に北米の名手エドガー・プラード(39)を迎え、2歳女王の座へまっしぐらだ。1日に枠順確定、2日から前日発売される。

 クラウンプリンセスの手応えを問われた橋口師は、開口一番に「調子はいいよ。一発があるなら、こっちの方かもしれない」。2頭出しのルミナスハーバーについては弱気な発言に終始したが、クラウンの話題になると口調が一変。ハーツクライの引退が決定し、沈みがちの師の表情に笑みが戻った。

 追い切りは中2週と間隔が詰まっているのを考慮、馬の行く気に任せた軽めの調整。坂路で先行させたアイアンクイン(2歳未勝利)を追走。楽な手応えのまま半馬身先着した。無駄な筋肉のない、しなやかな馬体を「細く見えるんだけどカイバはしっかり食べている。いわゆる“締まった”状態」と師は絶賛する。

 前走の黄菊賞(1800メートル)は5着に敗れたが「(騎乗した)ルメールが距離が長いのでは、と言っていた」と師。マイル戦だった2走前のデイリー杯2歳Sは、直線鋭く追い込んで0秒1差4着。勝ち馬は来週の朝日杯FSで上位人気が予想されるオースミダイドウ。陣営が「牝馬同士のマイル戦なら」と意気込むのも納得できる。

 手綱を取るのは北米を代表する名手プラード。WSJSで来日する同騎手を橋口師はいち早く確保した。30日、栗東トレセンに姿を見せたプラードは、真っ先に師の元を訪れ帽子をプレゼント。がっちりと握手を交わした。今年はバルバロでケンタッキーダービーを制覇。騎手人生26年目での悲願達成に「今、本当に自分自身の気持ちが充実している」と胸を張る。クラウンの追い切りには騎乗しなかったが「状態が凄くいいと聞いた。勝てる自信を持って乗りたい」ときっぱり。橋口師も「直線で末脚を引き出してくれれば」と名手の腕に期待を寄せる。末脚の破壊力は間違いなく一級品。北米リーディングに3度輝く剛腕を鞍上に迎え、不気味なムードが漂う。

 <ハーバー体戻らない> ルミナスハーバーは坂路で単走追い。スピード感を感じさせないキャンターのような脚さばきで駆け上がってきたが、タイムは4F51秒9。橋口師は「そんなに速くは見えなかった」と驚きの表情。動きには合格点を与えた師だが状態に関しては「馬体が戻らない。今回も恐らく体重が減っていると思う。前走が目いっぱいの仕上げだったから」と弱気。「桜花賞までには完ぺきに仕上げるけど、今回は…」とため息交じりに話した。秘めた能力はG1級だけに、当日の馬体重が鍵になりそうだ。




有馬出走デルタに岩田、ポップはペリエ

 有馬記念に出走する豪G1メルボルンCの1、2着馬、デルタブルース(牡5、栗東・角居)とポップロック(同)のあん上が、デルタは岩田騎手、ポップはペリエ騎手に決まった。11月30日、角居師が明らかにした。




横山典、もう銀はいらない/WSJS


 「おれの腕を見せる!」。関東リーディングを走る横山典弘騎手(38)がワールドスーパージョッキーズシリーズ(2、3日=阪神)に3年連続で出場する。昨年は、わずか1ポイント差で2位。今年のG1でも2着4回と惜敗続きだけに、95年以来の金メダルを獲得し、うっぷんを晴らしたいところだ。
 木曜日、横山典騎手は栗東トレセンに姿を見せた。「1年ぶりぐらいかな。ここにいるのは、そんなに珍しいことではないって」。朝一番に調教を付けると、リラックスした表情でソファに腰を掛けた。
 今年は決して順風満帆な1年ではなかった。年明け1月5日の中山金杯で落馬し、左鎖骨を骨折。約1カ月半、戦列を離れた。それでも復帰後は持ち前の強烈な追い込みを決め続け、99勝で関東リーディングに立っている(11月26日現在)。そして、WSJS6回目の出場も果たすことになった。「ワールドスーパーはさ、よく頑張ったぞっていうご褒美みたいなもんだと思っているんだ」。
 昨年は1ポイント差で2位。「また鼻差だよ」と周囲を笑わせたが、ポイントで大きく出遅れた土曜日から一気に追い上げるなど見せ場をつくった。WSJSでは出走馬がA〜Dグループに分けられる。最もランクが高いAグループの馬には1頭しか乗れなかった。もちろん、それはしっかり勝たせた。ほかでは、馬の評価以上の結果を着々と重ねた。「ノリに乗せると、この馬がこういうふうに走れるのかっていうのを見せたい。馬の気持ちを考えたりして、いいレースがしたい」。今年も、新しい面を引き出す自信がある。「その結果、チャンピオンになれたら言うことないよ」。
 今年のG1でも勝てず、2着4回と惜敗が続く。そろそろ、うっぷんを晴らしたいところ。阪神JFジーニアスに騎乗する機会があるが、WSJSにかける意気込みも十分だ。リニューアルした阪神コースは、頭にたたき込んだ。「おれは以前のトリッキーなコースも、駆け引きがあって結構好きだったけどね。今度は力と力の勝負って感じかな」。年間100勝もかかる週末。師走を告げる祭典で、95年以来2度目の金メダルをつかむ。



ルチェーレ「松永幹夫厩舎」クラシック出走1号へ…阪神JF追い切り

  阪神JF追い切り(30日) 鋭い決め手で2勝を挙げたハギノルチェーレは30日、栗東トレセンの坂路で追い切られた。ゴールまで軽快に走り、申し分のない仕上がりだ。一方、同じく坂路に入ったルミナスハーバーは予定より速い時計が出てしまったことから、体重減の不安を残した。枠順は1日に決まり、馬券は2日に前売りされる。

 坂路に入ったハギノルチェーレは、スピードに乗って、グングンと坂を駆け上がって行った。

 1ハロンで1秒ずつペースを上げ、480キロ前後の均整の取れた馬体を気持ち良さそうに前進させる。大渡助手に気合をつけられると、脚どりが乱れることなくフィニッシュ。53秒2、ラスト1ハロンも12秒6でまとめる好内容だ。

 「日曜日(26日)はモタモタしていたけど、きょうは良かった。カイバも食べているし、前走より具合はいいですね」と大渡助手が言えば、山本調教師も「思う通りに来ている」と仕上げに不満はない。

 来年の2月で定年を迎えるベテラントレーナーにとっては、熱い思いを持っての参戦だ。2月のダートGI・フェブラリーSこそ管理馬を出走させることは可能だが、「(オープン級の)古馬はいないからな」と話したことから、事実上、今回が最後のGI挑戦になる。

 そればかりではない、来年3月に、まな弟子の元騎手・松永幹夫調教師が厩舎を引き継ぐ予定。「いい形で幹夫に渡したい。ここで賞金を加算できれば、心配なく渡せるから」−すぐに桜花賞のステージに上がらせたいという親心だ。

 デビュー前から期待の大きな馬だった。ソエ(骨膜炎)も解消され、追い込みに磨きがかかってきた。前走のファンタジーSは4着でも、ラスト3ハロンは勝ったアストンマーチャン(33秒6)を上回る33秒5をマークした。

 「控える競馬の方が合っているのかな。今度もしまいを生かす。2着に来れんかな」と山本師。持ち前のシャープな末脚が繰り出された時、「松永幹夫厩舎」のクラシック出走第1号が誕生する。ハーバー小牧「落ち着きあれば」

阪神JF追い切り(30日) 坂路に入ったルミナスハーバーが、またしても鞍上の体内時計を狂わせた。馬なりでゆったり運んだつもりが、4ハロン51秒9、ラスト1ハロン12秒9…。

 「普通の馬だったら55秒の感覚で走っているのにね。54秒台の予定が速くなって53秒台かなと思ったら、それ以上に速かった。しまいも馬の首の動きに合わせて手を動かしただけで追っていないよ」乗った櫨(はぜ)山助手は苦笑いを浮かべた。

 前走時の追い切りは小牧が騎乗して50秒9。53秒台後半のつもりが3秒近くも速くなった。また、前走の体重がマイナス6キロの456キロで、追い切り前日(11月29日)の計測でも458キロ。回復が思わしくないため、この日は慎重を期して、騎手より体重が重く時計が出にくい調教助手を起用。にもかかわらず、速い時計が出てしまった。

 橋口調教師は厳しい表情で誤算を強調した。「この馬の能力は認めるが、体は心もとない。今回でひと息入れて、トライアルから桜花賞に向かうつもりです。桜花賞では素晴らしい体をお見せするので、今回は勘弁して欲しい」阪神への輸送で体重減が確実とあって、強気になりきれないのだろう。

 それでも、決して無理をして好時計を出したわけではない。「馬は楽だったんだろ?」トレーナーの問いに、笑顔でうなずいた櫨山助手。確かに不安を残したが、素質でカバーする可能性は十分にある。

 阪神JFの「キーマンの懐へ」ではクラウンプリンセスを出走させる橋口厩舎のもう1頭、ルミナスハーバーの手綱を取る小牧太(39)を直撃した。1日に枠順確定、2日から前日発売される。

 ――ルミナスハーバーのデビュー戦からを振り返ってください。新馬戦はスタートであおりました。

 小牧 調教で行き過ぎる面があったのでそろっと乗ろうとしたら出遅れて…。それで後方からになり負けてしまいました。

 ――コーナーでかなりの脚を使ったし、直線では1度ブレーキをかけながら2着。内容は悪くなかった。

 確かに相当、脚を使いましたね。勝った馬はうまくインが開いてその差だけ、という競馬でした。

 ――2戦目も少しあおり気味。でも、隣の馬のスタートもいまひとつ。それですんなり先行できた?

 それもあったかもしれません。でも、最後は遊びながら結果的にレコードでの完勝。隣の馬うんぬんは関係ないと思います。

 ――コーナーでうまく外へ出せたし手前を替えるのも早かった。ただ、向正面で折り合いを欠いた。

 多少行きたがりましたね。でも、それは前走の方が激しかったです。何とか辛抱してくれたけど、外からかぶされた後、引っ掛かって仕方ありませんでした。

 ――レース前から少々テンションが上がり気味?

 かなり上がっていましたね(苦笑い)。それでも最後は余裕がありましたから。2戦目くらい落ち着いていてくれれば、もっと楽に勝てたと思います。

 ――デビュー以来、体が減り続けて(464→462→456キロ)いるのも影響した?

 それもあったでしょうね。この中間も少し減ったみたいだけど、できたらこれ以上減ってほしくない。何とか当日までに戻ってくれていることを願います。

 ――人気のアストンマーチャンが前走(ファンタジーS)で強い勝ち方をしています。

 強かったですね。でも、僕の馬も力を出し切れれば決して劣っていないと思います。そのためにもまず当日にイレ込まないことが大事。

 ――阪神の芝が新しくなった。2戦目でレコード勝ちを記録したこの馬にきれいな馬場は好材料

 そうでしょうね。馬場を下見して確認してみますけど、速い時計の出る状態は合っているでしょう。枠の有利不利のなくなったコースもフェアだし、あとはとにかく当日落ち着いていることを願うのみです。

 ≪取材後記≫2着に敗れたデビュー戦を含め、ここまで3戦、いずれも強い競馬をしている。スタートも一戦ごとに上手になっているし、小牧も「能力的には(有力馬と比べて)決して劣っていない」と断言する。問題は使うたびに体が減り、テンションが上がって折り合いも難しくなっている点。「当日、イライラしないことを願うばかり」という小牧の思いが通じれば、2歳牝馬頂点の座も夢ではない。当日の馬体重と雰囲気に要注意。




武豊騎手、香港国際騎手CSに出場

 現地時間6日、香・ハッピーバレー競馬場で行われる第9回香港インターナショナルジョッキーズチャンピオンシップに、日本から武豊騎手(37、栗東・フリー)が出場する。

 インターナショナルジョッキーズチャンピオンシップは3レースで行われ、各競走につき1着=12P、2着=6P、3着=4P、4着=3P、5着=2Pが与えられ、合計ポイント最上位の騎手が優勝騎手となる。武豊騎手は、04年に優勝、02年に3位と好成績をおさめている。発走時刻と騎乗馬は4日(月)に確定する予定。出場騎手は以下の通り。

G.ボス(豪)
J.カステリャーノ(米)
D.マクドノー(愛)
R.ムーア(英)
D.オリヴァー(豪)
O.ペリエ(仏)
J.スペンサー(英)
A.シュタルケ(独)
A.スボリッチ(独)
武豊(日)
D.ホワイト(香)




ディープインパクト弟、ニュービギニングがデビュー

 30日、12月2日(土)、3日(日)に行われる各競馬場の出走馬が確定した。

 今週は3場で計10鞍の2歳新馬戦が組まれている。日曜阪神6Rには、先週のジャパンCでGI・6勝目を挙げたディープインパクトの半弟で、アグネスタキオン産駒のニュービギニングが満を持して登場する。兄と同じく武豊騎手が鞍上。

 土曜中山5Rには、マンハッタンカフェの半弟パリスフレンズがデビュー。04年セレクトセールでは2億円で落札された期待馬で、父ダンスインザダーク、兄マンハッタンカフェともに菊花賞馬という血統。大井の内田博幸騎手を鞍上に迎え、期待の高さが伺える。今週デビューする主な馬は以下の通り。

( )内は性齢、騎手・厩舎
2日(土)
・中山5R(芝2000m)
ダイワバリオス(牡2、松岡正海上原博之)
母アドマイスはオークトゥリーターフチャンピオンシップS(米G1)勝ち馬。

パリスフレンズ(牡2、内田博幸藤沢和雄)
半兄にマンハッタンカフェ(菊花賞などGI・3勝)。

阪神6R(ダート1200m)
ウォーターポピンズ(牝2、福永祐一岡田稲男)
半兄にHarlan's Holiday(フロリダダービー-米G1)。

阪神7R(芝1600m)
テーオーギャング(牡2、福永祐一・鹿戸幸治)
カッティングエッジクイーンC(GIII)勝ち馬。

ヤマカツブライアン(牡2、池添謙一池添兼雄)
ヤマカツスズラン阪神3歳牝馬S(GI)勝ち馬。

3日(日)
阪神6R(芝2000m)
ニュービギニング(牡2、武豊池江泰郎)
半兄にディープインパクト(三冠、ジャパンCなどGI・6勝)。

マイネルアクシオン(牡2、小牧太佐々木晶三)
半兄にテンザンセイザ(京都新聞杯-GII)。