ステイヤーズS

悲願達成か?

 3600メートルの別定戦で良馬場なら、馬券の軸はアイポッパーアルゼンチン共和国杯で敗れたとはいえ、トップハンデの58キロで勝ち馬に首差まで迫った。3000メートル以上では万葉Sを勝ち、春の天皇賞で3着と典型的なステイヤー。折り合いに不安がなく、待望の重賞初勝利に向けてペリエ騎乗で万全の態勢だ。
 休養明け2戦目で一変しそうなのがトウカイトリックアルゼンチン共和国杯では行き脚が鈍く5着に終わったが、阪神大賞典で逃げてディープインパクトの2着に粘り込んだ実績がある。前でレースを作れる自在性をうまく生かせるか。
 天皇賞11着のファストタテヤマは2000メートルで流れも不向きだったか。2走前の京都大賞典2着では上がり32秒8の脚を使っている。追い込みの一辺倒で展開に左右されやすいが、7歳でもすこぶる元気だ。長距離戦で前崩れなら好勝負。
 一昨年の2着馬グラスポジションが徐々に調子を上げてきた。長丁場で本領を発揮するか。ルーベンスメモリーは中山で3勝している。目が不自由で当てにしづらいが、好位で流れに乗れるようなら差はないはず。5歳で充実著しいチェストウイングも連穴に。




阪神ジュベナイルフィリーズ

 重賞2連勝中のアストンマーチャンが主役を務める。前走のファンタジーS(G3)で2着以下を5馬身ちぎってレコードV。完成度の違いを見せつけて圧勝した。初距離でも折り合いさえつけばG1制覇が期待できる。
 ルミナスハーバーは未勝利、500万下を連勝中。重賞は初挑戦となるが、未勝利戦で後続を7馬身離したスピードはここでも十分に通用する。
 イクスキューズは福島でデビュー戦を楽勝し、続く札幌のクローバー賞(オープン)をレコード勝ちした。ファンタジーSで5馬身差の2着に敗れたが、前走の一戦だけでは見捨てられない。
 ハロースピードはファンタジーSのスタートで後手に回り、直線でも前が詰まり3着。3戦目で土がついたが、同レースで1番人気に支持された素質馬。スムーズな流れで反撃があっても不思議はない。
 穴を出せばくるみ賞(500万下)を快勝したピンクカメオ。切れる脚はないが長くいい脚を使えるタイプで距離延長は好材料。3カ月ぶりをたたいた上積みが見込め、G12勝の兄ブラックホークの血も後押しする。




岩田ハローを中心に抜てき

 ファンタジーSを楽勝したアストンマーチャンが断然の1番人気になりそうだが、本命には同レース3着のハロースピードを抜てきする。決め手となったのは「別に怖い馬だとは思わない」という相沢師のインパクトあるひとことだ。
 後続を5馬身もちぎり、レコードで圧勝した馬をつかまえての強気の発言にはもちろん根拠がある。相沢師によれば前走で最もスムーズな競馬をしたのがアストンマーチャン。対照的にハロースピードは発馬直後に他馬と接触して後方に置かれ、3角すぎからは行くところ行くところで前が詰まるギクシャクした競馬。普通なら大敗しても不思議ないケースだが、逆に直線だけで3着に押し上げて力があるところを見せた。
 負けたとはいえ上がり33秒台の鋭い切れ味と、馬群にもまれてもひるまない勝負根性を確認できたのは大きい。スピード馬ゆえに折り合いに不安を残すマーチャンと違い、ハロースピードは追って味のあるタイプ。1ハロンの距離延長は間違いなく追い風になりそうだ。
 さらに新装の阪神外回りは直線が474メートルと長く、末脚を生かすには持ってこいのコース。「距離もコースもウチの馬には合っている。道中はライバルをじっくり見ながらの競馬になりそうだね」と相沢師はマーチャンマークを示唆した。前走の1番人気から開放されて、今度は気楽な立場で臨める。あん上も追える岩田騎手にスイッチして、直線一気の差し切りを狙う。




イクスキューズ16番大丈夫〜阪神JF

 前走ファンタジーS2着のイクスキューズは、坂路1本を63秒0で駆け上がって輸送前日の調整を終えた。8枠16番に決まったが、葛西助手は「昔の阪神と違って外が大きく不利なわけではないので大丈夫だろう。どこかで馬の後ろに入れて壁をつくってレースをさせたい。騎手(藤田)も2度目だし、うまく乗ってくれるでしょう」と期待していた。