阪神JF、ウオッカ豪快に差し切る

将来が楽しみ...

 3日、阪神競馬場で行われた阪神ジュベナイルフィリーズ(2歳牝、GI・芝1600m)は、四位洋文騎手騎乗の4番人気ウオッカ(牝2、栗東角居勝彦厩舎)が中団からレースを進め、早めに抜け出した圧倒的1番人気(単勝1.6倍)アストンマーチャンを豪快な末脚でクビ差差し切った。勝ちタイムは1分33秒1(良)。3.1/2馬身差の3着に2番人気ルミナスハーバー、クビ差の4着に6番人気ローブデコルテ、ハナ差の5着に5番人気イクスキューズが入った。

 勝ったウオッカは父タニノギムレット、母はJRA5勝、96年4歳牝馬特別・西(GII)5着のタニノシスター(その父ルション)という血統。叔父にスカイアンドリュウ(京王杯SC-GII・2着、父ポリッシュパトリオット)がいて、牝系はシスタートウショウ(桜花賞-GI)、シーイズトウショウ(セントウルS-GII)など活躍馬多数の名門。10月29日のデビュー戦(京都・芝1600m)を2着に3.1/2馬身差をつけ逃げ切り、前走の黄菊賞(2歳500万下・芝1800m)は出遅れから差してマイネルソリストの2着だった。通算成績3戦2勝。


阪神JF、騎手コメント「デビュー前から期待していた」

1着ウオッカ(四位洋文騎手)
 デビュー前から期待をしていた馬だっただけに嬉しい。今日は1頭強い馬がいたので、後ろから行っては無理と思いあの位置。アストンを見ながら行きました。道中もいい感じでした。今後も楽しみ。コンビを解消されないよう、僕も頑張ります。

2着アストンマーチャン(武豊騎手)
 惜しかった。勝った馬は強かったが、この馬もいい競馬はできた。距離もこなせたし、来年が楽しみ。

3着ルミナスハーバー(小牧太騎手)
 道中いい感じで行けて、3、4コーナーでは思い描いていた理想通りの内容。一瞬、行けるかな? と思ったけど、勝った馬は強かった。でも、ルミナスはよく走っている。

4着ローブデコルテ(福永祐一騎手)
 枠に泣かされた。今日は内有利でした。外枠からの発走で内に入ろうと思ったが、ごちゃついて入れなかった。この馬は切れる脚はないけどバテない。距離はこのくらいがいい。

6着ハロースピード(岩田康誠騎手)
 ゲートで出ていかなかった。ゲートが課題。行き脚があれば行けたけど…。

11着ホットファッション(中舘英二騎手)
 道中はいい感じだったが、上がりの競馬になったのが痛かった。


直線長かったルミナス3着/阪神JF

 2番人気のルミナスハーバーが3着に粘り込んだ。好スタートを決めると、果敢な先行策に打って出た。4角を先頭で回ったときには「能力的にかわされるイメージはないので、やったかと思った」と振り返るほどの手応えだったが、リニューアルした474メートルの直線は長かった。


敗因は距離?マーチャン2着/阪神JF

 単勝1・6倍。断然人気のアストンマーチャンは、最後の1完歩で夢を断たれた。好スタートからスムーズに流れに乗ると道中は3番手。坂下で先頭に立ち、残り200メートルでは後続に2馬身近い差をつけたが、ゴール寸前で涙をのんだ。武豊騎手は「惜しかった。いいレースができたし、距離も問題なかった。勝った馬が強すぎた」と、ベストパフォーマンスを強調した。
 石坂師は距離を敗因に挙げた。「前走の勝ちっぷりと今日の内容を見ると、距離が少しあった分だけ負けたのだと思う。その辺りが春への課題」。ラスト1ハロンのラップは11秒9。決して止まってはいないものの、勝ち馬の破壊力が上だった。今後は放牧に出され、春に備える。


阪神JFアラカルト

>四位洋文騎手
 ヤマニンシュクルで勝った03年以来のこのレース2勝目。06年函館2歳S(GIIIニシノチャーミー)以来のJRA重賞47勝目。JRA・GIは03年のこのレース以来3年ぶり8勝目。勝ち馬の父タニノギムレットには現役時代に3回騎乗し、スプリングS(GII)を勝ち、皐月賞(GI)で3着している。

>角居勝彦調教師
 このレース初勝利。今年の目黒記念(GII、ポップロック)以来のJRA重賞15勝目。JRA・GIは今年のフェブラリーS(カネヒキリ)以来の6勝目。2歳GIは初。

>日本レコード
 勝ちタイムの1分33秒1は96年メジロドーベル(当時は阪神3歳牝馬S)の1分34秒6を1.5秒破るレースレコード。さらに、96年10月26日の京都でアサカホマレが記録した、1分33秒4を上回る2歳芝1600mの日本レコード。

>キャリア2戦
 牝馬限定となった91年以降、キャリア2戦の馬が制したのは94年ヤマニンパラダイス、98年スティンガー、05年テイエムプリキュアに続く4頭目。2戦1勝の馬の優勝は初。

>タニノギムレット産駒
 タニノギムレット(その父ブライアンズタイム)は02年の日本ダービー馬。現2歳が初年度産駒の新種牡馬で、産駒初GI制覇。重賞勝ちは他に新潟2歳S(GIII)のゴールドアグリがいる。

>新種牡馬産駒の決着
 2着のアストンマーチャンも新種牡馬アドマイヤコジーン産駒で、新種牡馬同士のワンツー。3着ルミナスハーバーアグネスタキオン産駒で、3着まで父内国産馬の決着になった。父内国産馬のGI勝利は、フェブラリーS(カネヒキリ)、桜花賞(キストゥヘヴン)、NHKマイルC(ロジック)、オークス(カワカミプリンセス)、秋華賞(カワカミプリンセス)に続き今年6勝目。

>ブライアンズタイム
 父系祖父にブライアンズタイムを持つ馬としては、JRA・GI初勝利。主なブライアンズタイム種牡馬マヤノトップガンサニーブライアンナリタブライアンがいる。ちなみに、母の父にブライアンズタイムを持つ馬にはブルーコンコルド(JBCマイルなど交流GI・3勝、父フサイチコンコルド)、ティコティコタック(秋華賞-GI、父サッカーボーイ)など。

>母の父ルション
 母の父としてはJRA重賞初制覇。直仔の活躍馬にインテリパワー(川崎記念-交流GI)、マイネルブリッジ(NHK杯-GII)など。

>馬主、生産者
 馬主の谷水雄三氏、生産者のカントリー牧場ともに父タニノギムレットと同じで、重賞勝ちも同馬の日本ダービー以来の約4年半ぶり。





和田竜二騎手、2日間の騎乗停止

 3日、阪神1R・2歳未勝利にて、3位に入線したミヤジレオン(牡2、栗東川村禎彦厩舎)は、ゴール手前で急に外側に斜行し、ムファルメの走行を妨害したため5着に降着。鞍上の和田竜二騎手は12月9日(土)から10日(日)まで開催日2日間の騎乗停止となった。




朝日杯FSオースミダイドウなど22頭が登録

 3日、10日に中山競馬場で行われる朝日杯フューチュリティS(2歳牡牝、GI・芝1600m)の登録馬がJRAより発表された。

 デイリー杯2歳S(GII)を勝ち3戦3勝のオースミダイドウ京王杯2歳S(GII)を勝ったマイネルレーニア新潟2歳S(GIII)を勝ったゴールドアグリなど、22頭が登録している。登録馬は以下の通り。

( )内は性齢、所属・調教師
アサクサキングス(牡2、栗東大久保龍志厩舎)
アドマイヤヘッド(牡2、栗東友道康夫厩舎)
アドマイヤホクト(牡2、美浦古賀史生厩舎)
アポロダヴィンチ(牡2、美浦堀井雅広厩舎)
アロマンシェス(牡2、美浦本間忍厩舎)
エーシンビーエル(牡2、栗東湯窪幸雄厩舎)
オースミダイドウ(牡2、栗東中尾正厩舎)
クランエンブレム(牡2、美浦手塚貴久厩舎)
コアレスレーサー(牡2、美浦成島英春厩舎)
ゴールドアグリ(牡2、美浦戸田博文厩舎)
サムライタイガース(牡2、栗東角居勝彦厩舎)
ジャングルテクノ(牡2、栗東大久保龍志厩舎)
ディオスクロイ(牡2、美浦手塚貴久厩舎)
ドリームジャーニー(牡2、栗東池江泰寿厩舎)
フライングアップル(牡2、美浦藤沢和雄厩舎)
プロミスフェアー(牡2、美浦大久保洋吉厩舎)
マイネルサニベル(牡2、美浦高橋義博厩舎)
マイネルシーガル(牡2、美浦国枝栄厩舎)
マイネルフォーグ(牡2、栗東宮徹厩舎)
マイネルランページ(牡2、美浦稲葉隆一厩舎)
マイネルレーニア(牡2、栗東西園正都厩舎)
ローレルゲレイロ(牡2、栗東昆貢厩舎)





WSJSスボリッチ騎手が逆転優勝

 3日、阪神競馬場で行われた第20回ワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)最終戦・ゴールデンブーツT(3歳上1000万下・芝2000m)は、ドイツ・A.スボリッチ騎手騎乗の5番人気アドマイヤカンナが優勝。2着に岩田康誠騎手騎乗の6番人気マヤノリバティ、3着にD.ビードマン騎手騎乗の12番人気ビッグタイガーが入った。I.メンディザバル騎手騎乗の1番人気アースクリスハーンは12着に終わった。

 この結果により、第1戦12着、第2戦4着、第3戦4着、第4戦1着したA.スボリッチ騎手が、3戦終了時点8位から逆転優勝。04年以来2度目の優勝を果たした。ゴールデンブーツTの全着順、WSJS最終順位は以下の通り。

【ゴールデンブーツT全着順】
01 アドマイヤカンナ(独・A.スボリッチ)
02 マヤノリバティ(栗東岩田康誠)
03 ビッグタイガー(豪・D.ビードマン)
04 ロードアンセム(栗東武豊)
05 テイエムサッカー(米・E.プラード)
06 ホーマンアラシ(美浦中舘英二)
07 シルクチャンピオン(栗東藤田伸二)
08 マルブツシルヴァー(香・B.プレブル)
09 バンブーフィーゴ(豪・C.ウィリアムズ)
10 アグネスヨジゲン(米・J.カステリャーノ)
11 ワンダーシンゲキ(英・R.ムーア)
12 アースクリスハーン(仏・I.メンディザバル)
13 キングオブウィナー(笠松濱口楠彦)
14 アフリカンビート(美浦横山典弘)

【最終順位】
01 A.スボリッチ(独) 43点
02 岩田康誠(栗東) 41点
03 D.ビードマン(豪) 35点
04 藤田伸二(栗東) 32点
05 I.メンディザバル(仏) 30点
05 C.ウィリアムズ(豪) 30点
05 B.プレブル(香) 30点
08 E.プラード(米) 29点
09 濱口楠彦(笠松) 28点
10 R.ムーア(英) 26点
11 横山典弘(美浦) 19点
12 武豊(栗東) 16点
13 中舘英二(美浦) 11点
14 J.カステリャーノ(米) 6点




中日新聞杯トーホウアラン重賞2勝目

 3日、中京競馬場で行われた中日新聞杯(3歳上、GIII・芝2000m)は、C.ルメール騎手騎乗の3番人気トーホウアラン(牡3、栗東藤原英昭厩舎)が中団追走から直線に入ると内を突き、早めに進出を開始した2番人気インティライミをゴール手前でハナ差交わして優勝。勝ちタイムは1分57秒8(良)。さらに1/2馬身差の3着には4番人気マヤノライジンが入った。1番人気に支持されたマヤノグレイシーは最下位13着に敗れた。

 勝ったトーホウアランは、父ダンスインザダーク、母ヒドゥンダンス(その父Nureyev)という血統。今年1月のデビュー戦を飾ると、続くセントポーリア賞(3歳500万下)も制して2連勝。スプリングS(GII)は10着に敗れたものの、続く京都新聞杯(GII)で重賞初制覇を飾る。その後、日本ダービー(GI)9着後に第3中手骨を骨折し、休養を余儀なくされる。前走の菊花賞(GI)で復帰を果たすも8着だった。通算成績7戦4勝(重賞2勝)。

 鞍上のC.ルメール騎手はコイウタで制したクイーンC(GIII)に続く今年のJRA重賞2勝目で、通算3勝目。同馬を管理する藤原英昭調教師はデアリングハートで制した府中牝馬(GIII)に続く今年のJRA重賞勝利5勝目で、通算10勝目となった。






ディープ弟完勝デビュー…阪神6R

 >阪神6R(3日) ディープインパクトの弟が見事にデビュー戦を飾った。3日の阪神競馬6R(芝2000メートル、11頭立て)に出走した武豊騎乗のニュービギニング(2歳、父アグネスタキオン栗東・池江郎厩舎)は、1番人気に応える完勝劇で、偉大な兄の面目を保った。

 ニュービギニングは、競馬センスの良さを随所に見せた。前半の1000メートルが65秒6。この超スローペースでもかかることなく、2番手を追走。直線ではラスト1ハロン近くまで脚をためられた。鞍上のGOサインにしっかり反応すると内から抜け出し、上がり3ハロン35秒3の脚で2着に1馬身半差をつけてゴール。勝ち時計の2分8秒0は平凡でも、何か光るものを感じさせた。

 レース後のウイナーズサークルには、重賞レースかと思えるほどのファンが詰めかけた。「さすがですね。最後はいい脚を使ってくれました」武豊がほっとした表情を浮かべれば、池江郎調教師も「勝負根性があるね。いい内容の競馬だった」と満足そうに話した。

 オーナー、厩舎も兄と同じなら、12月の阪神開催で芝2000メートルという舞台設定まで一緒だった。父はサンデーサイレンスからアグネスタキオンに替わったが、448キロのコンパクトなボディーに毛色(鹿毛)まで似ているとあって、どことなく兄にダブって見えた。

 次走は中山競馬場でのオープン特別・ホープフルS(24日、芝2000メートル)が予定されているという。この日はディープインパクトの引退レースとなる有馬記念が行われる。入れ替わるようにデビューした弟は偉大な背中を追いかけて競走馬生活の好スタートを切ったが、今度は兄のメモリアルデーに花を添えて見せるか。後藤浩輝騎手、JRA年間100勝達成

 3日、中山11R・ターコイズS(3歳上牝OP・芝1600m)で1番人気コスモマーベラス(牝4、栗東中村均厩舎)が優勝。同馬に騎乗していた後藤浩輝騎手(32、美浦・フリー)は、00年、04年に続き自身3度目となるJRA年間100勝を達成した。今年の年間100勝は武豊騎手、藤田伸二騎手、岩田康誠騎手、安藤勝己騎手、横山典弘騎手に続き6人目の達成となる。今年767戦目の勝利。

 同騎手は92年にデビュー。02年安田記念(アドマイヤコジーン)、04年朝日杯FS(マイネルレコルト)、今年のジャパンCダート(アロンダイト)などJRA・GIは3勝、重賞は36勝している。また、00年、01年には優秀騎手賞も受賞している。




笠松濱口楠彦騎手、JRA初勝利

 3日、阪神競馬場で行われた10R・ゴールデンサドルT(3歳上1000万下・芝1400m)で、アドマイヤディーノ(牡3、栗東松田博資厩舎)が優勝。同馬に騎乗していた笠松競馬所属の濱口楠彦騎手(46、笠松・松原義夫厩舎)は、JRA初勝利を達成した。

 同騎手は76年10月にデビュー。今年は地方で107勝を挙げている。主な勝ち鞍にはクインオブクイン(牝4、笠松・松原義夫厩舎)で制した05年東海菊花賞などがある。

 JRAでは92年に初騎乗し、これまで2着2回、3回3回の成績を残している。通算52戦目での達成で、同時に初の特別勝ちも達成した。JRA通算52戦1勝。




ポインセチア賞、チアズウイナー叩き合い制す

 3日、阪神競馬場で行われたポインセチア賞(2歳500万下、ダート1200m)は、藤田伸二騎手騎乗の6番人気チアズウイナー(牡2、栗東山内研二厩舎)が道中で先手を奪い、同厩舎で1番人気コンゴウダイオーとの叩き合いを3/4馬身制した。勝ちタイムは1分12秒8(良)。さらにクビ差の3着に2番人気アルヴィスが入った。

 勝ったチアズウイナーは、父フォーティナイナー、母ダーケストスター(その父Star de Naskra)という血統。半兄に03年JBCスプリント(交流GI)など重賞8勝のサウスヴィグラス(父エンドスウィープ)がいる。04年セレクションセール当歳にて4350万円で落札されていた。6月24日の新馬(函館・ダート1000m)で勝ち上がった後、約5か月ぶりの前走・もちの木賞(2歳500万下・ダート1400m)はクィーンオブキネマの7着に敗れていた。通算成績3戦2勝。




ワイルドワンダー半弟、オペラブラーボがデビュー勝ち

 3日、中山競馬場で行われた6R・2歳新馬(芝1600m)は、木幡初広騎手騎乗の1番人気オペラブラーボ(牡2、美浦久保田貴士厩舎)が道中2番手追走から直線で抜け出し、逃げた8番人気ブレイブソニックに1.1/4馬身差をつけ優勝した。勝ちタイムは1分37秒8(良)。さらに1/2馬身差の3着には3番人気ダイワゴーレムが入った。

 勝ったオペラブラーボは、父オペラハウス、母がJRA・6勝のワルツダンサー(その父サンデーサイレンス)という血統。半兄に今年のサウジアラビアロイヤルC(OP)勝ちなどJRA現5勝のワイルドワンダー(牡4、美浦久保田貴士厩舎、父ブライアンズタイム)、従兄に04年テレビ埼玉杯(南関東G3)を制したベルモントソレイユ(牡6、大井・高橋三郎厩舎)がいる。