有馬記念 2週前追い切り

オースミダイドウ 1番人気か?

角居勢2頭は走る気満々

 豪G1メルボルンCでワンツーを決めたデルタブルース(牡5、栗東・角居)とポップロック(同)は、着地検査中の京都競馬場ダートコースで併せ馬を行い併入。岸本助手は「直線だけ伸ばしたけど、2頭とも走る気満々」と笑顔を見せた。「追い切り時計? 誰も取っていないけど、気にならない。この動きなら、2頭とも有馬記念でいい仕上がりになるはず」。11日には栗東トレセンに帰厩し、最後の調整に入る。





インパクト順調、疲労なし

 有馬記念(G1、芝2500メートル、24日=中山)に出走するディープインパクト(牡4、栗東池江泰郎)が6日、坂路を1本駆け上がった後にDウッドコースをキャンターで1周した。坂路では行きたがる面を見せ、4ハロン76秒5、ラスト15秒7をマーク。騎乗した池江助手は「見ての通り元気いっぱいだよ」と笑った。「前走後も疲れなんてないみたい。もう少し走る方に向けてテンションを上げて、状態を維持してあげればいいね」と、順調さを強調した。




朝日杯フューチュリティSの出走馬確定

 7日、10日に中山競馬場で行われる朝日杯フューチュリティS(2歳牡牝、GI・芝1600m)の出走馬15頭が確定した。枠順は8日に発表、馬券は9日より発売される。出走馬は以下の通り。

( )内は性齢、騎手・調教師
アドマイヤヘッド(牡2、岩田康誠友道康夫)
アドマイヤホクト(牡2、横山典弘古賀史生)
アロマンシェス(牡2、勝浦正樹本間忍)
エーシンビーエル(牡2、幸英明湯窪幸雄)
オースミダイドウ(牡2、O.ペリエ中尾正)
コアレスレーサー(牡2、柴田善臣成島英春)
ゴールドアグリ(牡2、安藤勝己戸田博文)
ジャングルテクノ(牡2、四位洋文大久保龍志)
ドリームジャーニー(牡2、蛯名正義池江泰寿)
フライングアップル(牡2、北村宏司藤沢和雄)
マイネルサニベル(牡2、田中勝春高橋義博)
マイネルシーガル(牡2、後藤浩輝国枝栄)
マイネルフォーグ(牡2、内田博幸宮徹)
マイネルレーニア(牡2、松岡正海西園正都)
ローレルゲレイロ(牡2、本田優昆貢)





<朝日杯FS 追い切り>


ダイドウ「一点の曇りなし」


 無傷の4連勝で2歳王者を目指すオースミダイドウ(牡、栗東中尾正)が、万全の態勢を整えた。栗東Dウッドでの最終追い切りは、燃えやすい精神状態を考慮してしまい重点のメニュー。前半からきっちり折り合いをつけ、ラスト1ハロン11秒9とシャープに伸びた。

 オースミダイドウを見詰める中尾正師の表情は、晴れ晴れとしていた。「一点の曇りもありません」。追い切りを終えた馬体、息遣いを確認すると、そう言い放った。「ここまでの調整がうまくいった。それが一番だね」と万全の仕上がりをアピールした。

 Dウッドコースを単走で6ハロン85秒1、ラストは40秒6−11秒9。前半は15−15で入り、残り1ハロンで軽く手綱を動かして、反応だけを確かめた。しまい重点で流れるような加速を披露。「いい反応だったね。体もできているし、あとは息をつくっておけばいい。カリカリしないで、実にリラックスしていたよ」。予定通りの動きにトレーナーも満足そうだった。

 中尾正厩舎といえば激しい調教で知られている。過去には水曜追いの時計が物足りず、木曜日に追試を課したこともあった。楽々と1番時計を出すほど攻め駆けするダイドウが、今週は「静」に徹したのは精神面を重視した結果。「カッとなりやすい馬だからね。気持ちの面を考えた」(中尾正師)。普段はおとなしくても、競馬場に行ってパドックに出るとグンとテンションが上がる性格の持ち主だ。週末には初めての長距離輸送も控えている。平常心を保つことが、まず掲げられた課題だった。

 「1週前にビシッとやったことで、少しテンションが上がり気味だった。でも、今日はリラックスしていたからね」。大役を終えた松本助手はホッと胸をなで下ろす。前半からスムーズに折り合いをつけ、見事に直線の切れ味を引き出した。ラスト1ハロンでたたき出した11秒9は、人馬の呼吸が乱れていては出ない時計。馬の気持ちを上手にコントロールできた何よりの証拠だ。

 デビューから無傷の4連勝での頂点が、いよいよ現実味を帯びてきた。確かな手応えを感じつつも、中尾正師は気を引き締める。「1戦1戦、1つずつ。先のことを考えていたら、鬼が笑うよ」。普段の豪快な笑いは最後まで鳴りを潜めたまま。それが逆に勝負気配を感じさせていた。





北村宏、アップルで恩返し


 関東の期待を集めるフライングアップル(牡、藤沢和)は、芝コースの3頭併せで絶好の動きを見せた。

 フライングアップルを送り出す藤沢和雄師(55)が、まな弟子の北村宏司騎手(26)を起用して、11年ぶりの2歳牡馬王座を狙う。年頭に「今年のジョッキーは横山典と北村宏」と日本人主力を宣言した通り、外国人の騎乗はゼロ。ペリエルメールにも浮気しなかった。特に北村宏の重用は顕著で、50勝中過半数の29勝を稼いだ。「北村主戦で、馬主さんに我慢してもらった。おかげさまで乗り役も成長した」と、辛口のトレーナーにしては珍しく褒めた。今年のG1はダンスインザムードで挙げた1勝。「中山千六は難しいコースで、スピードがないとつらい。その辺に心配もあるが、楽しみもある」と、ヴィクトリアマイルに続く2勝目に色気を見せた。

 最終追い切りは芝コース3頭併せの外。先行したタイキスピリッツ(4歳1000万)と楽な手応えのまま併入し、マチカネゲンジ(3歳1000万)には2馬身先着した。騎乗した北村宏は「順調ですね。体調はいい」と好調を確信した。前走の東スポ杯2歳Sはドリームジャーニーを鼻差抑えて2着。4戦2勝、2着2回と底を見せていない。「競馬には前走で初めて乗ったが、すごく乗りやすい。器用なので、初めての中山でも対応できると思う」と前向きに話した。

 勝てば厩舎にとって95年バブルガムフェロー以来。乗り役には、師匠からさらなる信頼を得るチャンスでもある。「もっと乗せてもらえるように頑張ります」。勝利が最高の恩返しとなる。




アグリ逆襲へ万全

 新潟2歳Sチャンピオンのゴールドアグリは先週に続きダートコースに入り、パートナーも同じディスイズザライフ(古馬500万)との併せ馬で追われた。向正面では3、4馬身ほど後方を進み、3、4角で差を詰めると直線では内に進路を取る。2頭が馬体を接するように伸び比べ。アグリの斉藤助手がいっぱいに追い出すと即座に反応し、併入に持ち込んだ。

 前走の京王杯2歳S4着は、スタート直後に他馬に寄られて後方追走を強いられたのが敗因。折からの雨で馬場が渋っていたため、身上とする末脚の切れを生かせなかったのも痛かった。新潟2歳Sでは若駒離れした豪快な差し切り勝ちを演じているように、距離が延びるのはプラスだ。

 斉藤助手は「しまい重点だったが、最後まで集中して走っていたし動きや反応なども満点だった。右回り自体には何の問題もない。器用な脚があるので、スタートで五分に出て流れに乗れれば、チャンスはあるはず」と感触の良さを強調。逆襲への態勢は整った。





ドリームジャーニー、ソフト仕上げで折り合い

 狙い通りのソフト仕上げだ。ドリームジャーニーはDウッドチップコースを単走で馬なり。6ハロン84秒2の時計に池江寿調教師は「折り合いがつきました。雰囲気は前走よりいい。それははっきり言えます」と笑みがこぼれた。

 前走の東京スポーツ杯2歳Sは3着。前走の1週前追い切りが引っかかって時計が予定より速くなって、テンションが上がった。レース当日も落ち着きがなく、返し馬の時点でかかり気味。出遅れてポジションを上げようとすると折り合いを欠いたため、馬込みで落ち着かせることに。だが、結果的には、そのまま最後まで馬場状態の悪いインを走らされた。

 だが、トレーナーは悲観より、手応えを感じている。「上がり時計はメンバー最速(3ハロン33秒7)でした。中山のマイルはそこそこ流れてくれますから、合っていると思います」2走前は同じコースの芙蓉Sを圧勝。好相性の舞台が、クラシックへの登竜門になりそうだ。





バレンティン「状態戻った」

 鳴尾記念(G3、芝1800メートル、9日=阪神)出走馬の追い切りが6日、東西トレセンで行われた。福島記念で初重賞制覇を果たしたサンバレンティン(牡5、栗東・佐々木晶)はCウッドコースで追われ、6ハロン80秒8−13秒1をマーク。愛馬の好調アピールに佐々木晶師は「レース後に疲れが出たが、今はいいころの状態に戻っている」と安どの表情を見せた。

 前走は外から豪快な差しを決めた。「雨が降って、この馬にもってこいの馬場だったが、まさかあんなに離して勝てるとは…」と佐々木晶師も驚くほどの勝ちっぷり。今回は阪神へと舞台が替わるが「直線が長いのはいいし、坂があるのも楽しみな点。あとは雨の助けが欲しいかな。今回は試金石だね」と重賞2連覇を楽しみにしていた。





今週の新馬戦、GI級良血牝馬が大集合

 7日、9日(土)、10日(日)に行われる各競馬場の出走馬が確定した。

 今週は3場で計9鞍の2歳新馬戦が組まれている。注目は土曜阪神5R・牝馬限定戦で、GI級の良血馬が集結。いずれもアグネスタキオン産駒で、今年のヴィクトリアマイル(GI)を勝ったダンスインザムードの半妹ウィンナワルツ、三冠牝馬スティルインラブの半妹グローバルフィート、GI・3勝馬ニシノフラワーの娘ニシノマナムスメが出走を予定している。今週デビューする主な馬は以下の通り。

( )内は性齢、騎手・厩舎、父馬
>9日(土)
・中山6R(芝1200m)
スイメイ(牝2、小野次郎中野隆良キングオブキングス)
叔父にノーリーズン(皐月賞-GI)。

トオヤマザクラ(牡2、柴田善臣手塚貴久サクラバクシンオー)
母ヤングマザーはヴェルメイユ賞(仏G1)勝ち馬。

阪神4R(ダート1200m)
アドマイヤミスティ(牝2、岩田康誠中尾正アドマイヤボス)
叔父にスターキングマン(東京大賞典-交流GI)。

阪神5R(牝、芝1600m)
インプレスゴールド(牝2、長谷川浩大中尾正ブライアンズタイム)
全兄にビッグゴールド(中山金杯-GIII)。

ウィンナワルツ(牝2、福永祐一森秀行アグネスタキオン)
半兄にダンスインザダーク(菊花賞-GI)、半姉にダンスインザムード(桜花賞-GI)、ダンスパートナー(オークス-GI)。

グローバルフィート(牝2、幸英明松元省一アグネスタキオン)
半姉にスティルインラブ(牝馬3冠)。

ザリーン(牝2、秋山真一郎安達昭夫メイショウオウドウ)
半兄にチャクラ(ステイヤーズS-GII)。

ニシノマナムスメ(牝2、藤田伸二河内洋アグネスタキオン)
ニシノフラワー桜花賞(GI)、スプリンターズS(GI)、阪神3歳牝馬S(GI)勝ち馬。

レディカーニバル(牝2、藤岡佑介池江泰郎、Giant's Causeway)
母ヴァージニーはブラジル3冠牝馬

・中京4R(芝1800m)
コアレスファルコン(牡2、須貝尚介須貝彦三トウカイテイオー)
半姉にエスワンスペクター(エーデルワイス賞-交流GIII)。

フライングメリッサ(牝2、鮫島良太鮫島一歩ダンスインザダーク)
叔母にショウナンパントル(阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)。

>10日(日)
・中山4R(牝、ダート1200m)
スピードパンサー(牝2、戸崎圭太沢峰次トロットサンダー)
アブクマレディークラスターC(交流GIII)勝ち馬。

ヒシヴィーナス(牝2、郷原洋行中野隆良、ジェニュイン)
半兄にギルデッドエージ(中山大障害-JGI)。

阪神3R(ダート1800m)
アドマイヤミリオン(牡2、高田潤松田博資ウォーエンブレム)
叔母にシルクプリマドンナ(オークス-GI)。

ケンメイオウ(牡2、小牧太森秀行フサイチコンコルド)
半兄にワイルドソルジャー(名古屋グランプリ-交流GII)。




シーザリオアメリカのレース名に

 現地時間9日、米・ハリウッドパーク競馬場の3Rにて、05年に同場でアメリカンオークス(米G1・芝10f)を制したシーザリオ(牝4、父スペシャルウィーク)の名を冠したシーザリオS(3歳牝、芝8f、1着賞金5万5000ドル=約630万円)が行われる。

 アメリカでは日本に比べ、G1ウイナーの名前がレース名になることが多く、今回、日本馬として初めて米G1を勝ったことシーザリオがレース名となった。同レースには9頭が出走を予定している。

 シーザリオは父スペシャルウィーク、母がラトガーズBCH(米G3)の勝ち馬キロフプリミエール(その父Sadler's Wells)という血統。デビュー戦から3連勝で05年フラワーC(GIII)を制し、桜花賞(GI)では2着に惜敗したものの、続くオークス(GI)では1番人気に応え優勝。その後米国へ遠征し、ハリウッドパーク競馬場で行われたアメリカンオークスを4馬身差で圧勝し、日本馬史上初の米G1制覇を達成した。帰国後、右前繋靱帯炎を発症し、4月19日にJRA競走馬登録を抹消されていた。通算成績6戦5勝(重賞3勝、海外1戦1勝)。

 現在は北海道安平町・ノーザンファームで繁殖生活を送っており、キングカメハメハの受胎が確認されている。




ヒシアトラス危篤、原因不明の奇病

 原因不明の奇病で入院中のヒシアトラス(牡6、中野隆)が危篤状態に陥り、7日にも安楽死の判断が下される。6日、美浦の診療所で状態を確認した中野隆良師(66)は「手の施しようがない。おそらく今日明日中に安楽死させることになると思う」と険しい表情で話した。10月9日の南部杯で2着と好走後、ノドの異常を発端に四肢にむくみが出た。原因が分からないため適切な治療法がなく、馬は衰弱する一方。回復の見込みがないまま苦痛を与え続けるよりも、安楽死が馬にとって最良の選択と判断された。「ダートでもう1年と期待していただけに残念」とトレーナーは唇をかんだ。