ディープ 3連続1番時計マーク

今年は勝てる?

ディープ 3連続1番時計マーク

 「有馬記念・G1」(24日、中山)を翌週に控えたディープインパクト(牡4歳、栗東・池江郎)が1週前追い切りを行い、栗東DWでジャパンC1週前、ジャパンC当週に続き、またまた1番時計をマークした。単走で6F80秒1は前2回と比べると地味に映るが、陣営の感触は1週前としてはこれまでで最高の手応え。刻一刻と近づくラストランへ向け、軽やかなフットワークで好調をアピールした。
 「今週でも競馬ができるぐらい」。寸分の狂いもない調整に指揮を執る池江郎師からも思わず笑みがこぼれる。有馬記念で最終章を迎えるディープインパクト。DWで軽く仕掛けた程度の1週前追い切りで、6F80秒1-38秒0-12秒6の1番時計をマークした。
 勝負どころでは自分からハミを取り、重心を沈めるいつもの加速を見せると、全身バネを思わせる軽快なフットワークでゴール板を駆け抜けた。
 カウントダウンは始まっている。ジャパンカップのあと、有馬記念当日の引退式が決定。そして社台スタリオンSから種付け料(1200万円)の発表もあった。ラストランへ向けて、周囲の慌ただしさが増すなか、調整にも自然と力が入る。
 1番時計はジャパンC1週前、ジャパンC、そして今回と“3週連続”でマーク。特に武豊が乗った前2回と違い、今回はユタカより体重が重い、池江助手が乗ってマークした。「次はないですからね。ビシッとやった。指示した時計よりも若干速かったけど、順調だということ。今の状態を維持してくれればいい。来週は最後だし、豊くんを乗せてキッチリと調教したい」と指揮官は口元を引き締めた。
 手綱を取った池江助手も納得の表情で馬上から降りた。「半マイルから少し速くなったんだ。あと百メートル辛抱できていればと思うけど、キャンターのときでも3角からハミを取るからね」。
 パートナーのファイティングポーズに手を焼きながらも、背中越しに伝わったその感触は過去最高だという。「気合乗りが違うね。1週前の雰囲気としてはこれまでで一番いい。動きだけじゃなく、メンタル面も含めてね。ジャパンカップのときでもこれほどじゃなかったから」。強さを誇示した前走をもしのぐ、デビュー以来最高の仕上げで最良の日を迎えることができそうだ。
 仕上げ人にとっては最後の1週前追い切りだった。「実質の追い切りとしては最後の騎乗になるからね。このスピード感を味わえるのは最後か…。そう思いながら乗っていたよ。うん、気持ちよかったね」と手に残る感触に感慨深げな様子だ。残すところ約1週間。こん身の仕上げで挑む“締め”の日を待つ。




メジャー気合満点13秒2

 ファン投票2位のダイワメジャー(牡5、上原)が軽快な動きを見せ、好仕上がりをアピールした。前走マイルCS1着後は短期放牧に出てリフレッシュ。先週の帰厩後、10日(坂路800メートル56秒2)に続く本格的な追い切りだ。

 有馬記念では一気の距離延長が懸念される。その対策の一環として馬場入りの時、走る距離が最も長くなる向正面2角寄りの入り口から入場する工夫が見られた。キャンターに移るとグッとハミを取り、騎乗者の指示に即座に反応したように気合乗りは満点。スムーズに加速し、直線を向いても馬なりのままラスト1ハロン13秒2でまとめた。この秋G1を2勝したパワーに、陰りは見られない。上原師は「流れるようなフットワークで状態は文句なしでしょう。楽にこれだけの時計が出せるのだから。距離に関しても日常の調教からいろいろと工夫しているし、得意の中山ならそれほど心配はいらないと思うよ」と目を細めていた。





デルタブルース 4度目の正直だ

 海外G1勝利という栄光を胸に、「有馬記念・G1」(24日、中山)での国内制圧を狙うデルタブルース。その準備は着々と整いつつある。栗東芝で追われた1週前追い切りは、いつもの馬なりだったが、軽快な脚さばきが順調さを物語っていた。
 歓喜メルボルンC制覇から11月14日に帰国。千葉県白井の競馬学校での輸入検疫、京都競馬場での着地検査を経て、11日に帰栗した。「疲れはすっかり取れて、京都で2本、時計も出してきました。今日まで予定どおりですよ」と高田助手は話す。
 ディープインパクトとは昨年の有馬記念、今年の阪神大賞典春の天皇賞と3度対戦したが、いずれも完敗している。しかし「いままでゲートをモサッと出てたけど、メルボルンCではパンと出ましたから。切れる馬ではないので、前に行って粘り込む競馬なら」とスタートが良くなった点を強調。そのうえで「力を出し切れれば」と白旗は揚げていない。
 岩田もディープとの対戦を心待ちにしている。「チャレンジャーの気持ち。でもデルタもさらに状態が上がっているから」。打倒ディープへ、陣営の気分は高まっている。



東京大賞典シーキングザダイヤ横山典

 14日、29日(金)に大井競馬場で行われる東京大賞典(3歳上、交流GI・ダート2000m、1着賞金8000万円)に出走を予定しているシーキングザダイヤについて、騎乗停止中となる武豊騎手に代わり、横山典弘騎手が騎乗することになった。

 横山典弘騎手とシーキングザダイヤのコンビは、過去に6戦して[0-4-0-2]という成績。昨年はこのレースや、ジャパンCダート(GI)、南部杯(交流GI)、川崎記念(交流GI)で2着している。現在の登録馬は以下の通り。

( )内は所属・騎手(空欄の場合は未定)
JRA所属馬】出走枠5頭
クーリンガー(栗東和田竜二)
シーキングザダイヤ(栗東横山典弘)
ハードクリスタル(栗東)
ブルーコンコルド(栗東幸英明)
マンオブパーサー(栗東)

JRA補欠馬】補欠順位順
カフェオリンポス(美浦)
マイネルボウノット(美浦)
ヴァーミリアン(栗東)
トーセンシャナオー(栗東)
ピットファイター(美浦)

南関東選定馬】出走枠8頭
アジュディミツオー(船橋)
クールアイバー(大井)
コアレスタイム(船橋)
シーチャリオット(船橋)
ジルハー(川崎)
ナイキアディライト(船橋)
ビービートルネード(川崎)
ボンネビルレコード(大井)
チョウサンタイガー(川崎)

南関東補欠馬】補欠順位順
ウエノマルクン(大井)
サワライチバン(船橋)
テンセイフジ(川崎)
コアレスデジタル(船橋)

【他地区選定馬】出走枠3頭
オグリホット(笠松)
シルキーゲイル(高知・倉兼育康)
※他地区補欠馬はなし




ドリーム、内田博と新コンビ

 ドリームパスポート(牡3、栗東・松田博)のあん上が内田博幸騎手(36)に決定した。13日、松田博資師(60)が明らかにした。前走ジャパンCで騎乗した岩田騎手がデルタブルースに乗るため騎乗者が未定だったが、大井の豪腕との新コンビで一発を狙う。

 今回がデビューから13戦目。起用騎手は7人目となる。同じ騎手が続けて手綱を取ったケースは1度もない。それでも馬券の対象から外れることなく、ついにグランプリまで駒を進めてきた。驚異の安定感が、再び古馬を脅かす。

 この日はDウッドコースで前走後初めて長めから本格的な追い切りを行った。単走で7ハロン98秒0、ラスト40秒6−12秒7。手綱を取った高田騎手は「しまいは流す程度。スーッと流れる感じで状態はいい。成長している時期で、競馬でも証明している」と充実ぶりに目を細めていた。






阪神C

マッテルゼこの秋一番51秒9/阪神C

 オレハマッテルゼが坂路で51秒9の好時計をたたき出した。夏の放牧から帰厩後、最も速い。音無師は「しまいは3頭で併せる形になったが、かえっていいけいこになった。馬場が荒れた中で、この時計。しまい13秒を切ってきたからね」と、ラスト12秒9の頑張りを評価した。夏場に弱い馬で、満足な調整ができなかった秋初戦のスプリンターズSは9着。続くスワンSも体調は上向かず5着。マイルCSをパスし、年末に照準を定めて立て直したトレーナーの判断が吉と出た。「秋3戦で一番走れる出来。チャンスをつかめる状態まで持ってこられた」と胸を張った。

 今回と同じ1400メートルの京王杯SCを59キロで勝っているように、距離は十分守備範囲。前が残る阪神の馬場で、先行力も強力な武器になる。高松宮記念ラインクラフトを封じた底力は、やはり怖い。




スケルツィ余裕の12秒6

 阪神C(G2、芝1400メートル、17日=阪神)に出走するマイネルスケルツィ(牡3、稲葉)が絶好の動きを見せた。ウッドコースを馬なりのまま低い重心を保って力走。初代チャンピオンに向けて万全の出来をアピールした。

 前を行く他厩舎の馬たちを一気にのみ込んだ。ウッドコースの大外を回ったマイネルスケルツィが重心を沈ませる。馬の行く気に任せたままで、ラスト1ハロン12秒6の好タイムをマーク。直線に入ると自らハミを取り、グングン加速した。首を下げ、トモを大きく蹴り上げ、踏み込みは深い。体全体を伸縮させてのびのびと走り切った。

 5ハロンでは67秒7と予定よりもやや速かったが、無理せずに出したもの。NHKマイルCで2番人気に推された素質馬が、本格化の気配を見せ始めた。動きを見守った稲葉師は「具合はいいな。時計は予定よりもちょっと速くなったけど、前にいた馬を追い掛けた分だろう。今回の出来が一番いいんじゃないか。まだまだ完成型じゃないが、来年の今ごろが本当に楽しみ」と期待を込める。

 阪神競馬場は昨年のラジオたんぱ杯2歳S(9着)以来。当時は輸送に半日以上かかり、レースでは10キロ減って余力がなかった。今年のニュージーランドTを制した後、馬体が減少。使い減りが課題だったが、夏休みを経て成長し不安点は少なくなった。今の状態なら、古馬の一線級を相手にしても十分やれる。

 新装オープン後、流れが落ち着きやすい阪神。好位を進めるスケルツィにとっては問題ない。来年の飛躍に向け、初代王者の座を手にしたいところだ。