新生グラン充実の50秒7

阪神でどうか?

 阪神C(G2、芝1400メートル、17日=阪神)の追い切りで快速馬シンボリグラン(牡4、畠山吉)が精神面の急成長をアピールした。14日、美浦の坂路で抑えの利いた走りを見せ、4ハロン50秒7の好時計をマーク。心身ともに万全の状態で、昨年のCBC賞に続く重賞Vに挑む。

 坂路を駆け上がるシンボリグランの姿に、現在の充実ぶりが見て取れた。あん上の柴山騎手との呼吸がピタリと合い、リズムのいい走りでゴールを目指す。以前は斜面手前の平たん部分から暴走気味に飛ばし、がむしゃらに走っていた。それが秋を迎えてからは、騎乗者の指示に素直に従いスピードをコントロールできるようになった。1ハロンごとの時計は4ハロンから3ハロンまでが13秒6、3ハロンから2ハロンまでが12秒8と、スムーズに加速していたのが分かる。

 競走馬にスピードは欠かせない資質ではあるが、レースの流れに合わせて発揮できないと無用の長物に終わる。一本調子で飛ばして勝てる場合もあるが、それはあくまで偶然でしかない。どんな展開、どんな相手でもレースで勝つには、あん上の意のままに動かないと難しい。夏までのグランは角馬場でも頭を上げてハミを取らなかったし、騎乗者に対して反抗的な態度が目立った。それが日常の我慢強い訓練と、馬自身の精神面での成長が相まってレベルアップ。スワンS2着、マイルCS3着と、秋2戦で好結果を残した。

 この日は坂路に入る前、角馬場からAコースでの脚慣らしでも首を下げてハミを取るなど、新生グランの充実ぶりが目を引いた。畠山吉師は「今日の動きは文句なしで好仕上がり。今の阪神は好位でコースロスなく走らないと上位争いは難しそうだ。これまでのグランはゲートからフワッと出さないと折り合いを欠く心配があったが、今ならある程度前に行けるはず。それができたら間違いなく好勝負になるはず」と手応え十分。「わがままなお坊ちゃん」のイメージを完全に返上するために、ここは1着という結果が求められる。





滞在効果でビーナス切れた12秒3

 栗東に滞在して調整している関東馬ビーナスラインは、Dウッドコースを単走で追われ4ハロン52秒4、ラストは12秒3と切れた。しまい重点とはいえ、函館スプリントSを勝った時の鋭さがよみがえった。堀師は「体は仕上がっている。先週まで息遣いがもうひとつだったが、息はだいぶできてきた。日曜にやってから気持ちもピリッとしてきた」と上昇を確信した。

 阪神は5走前の淀屋橋S以来。この時は2番人気に支持されたが、輸送による12キロ減が響いたのか6着に敗れている。今回は栗東からの当日輸送。前回とは違った結果が期待される。「こっちに来てから、おとなしい。だから美浦よりも調整しやすい」と、トレーナーは予想以上の滞在効果に目を細めた。「1400メートルなら追走が楽。多少時計がかかった方がいい」。同じく栗東滞在のキンシャサノキセキは、賞金不足で出走がかなわなかった。僚馬の分まで頑張るしかない。




ザクラ力強く52秒4

 フェアリーS(G3、芝1200メートル、17日=中山)の追い切りで、カノヤザクラ(牝2、栗東・橋口)がダイナミックな動きを披露した。上村騎手の手綱は止まったまま。それでも前脚を強くかき込むフォームで4ハロン52秒4の好時計を出した。上村は「馬なりだったけど、いい感じ。状態は良さそう」と納得の様子だ。

 前走ファンタジーSでは「引っ掛かるのを警戒して大事に行った」(橋口師)ことが裏目に出て、4コーナーでは後方3番手。最後に伸びても6着が精いっぱいだった。

 上村は「脚をためるより、スピードを生かした方がいい。今回は前で競馬するつもり」と言う。来春の目標である桜花賞へ向け、ここは落とせない。




エアシャカール産駒2頭がJRA初出走

 今週の新馬戦に、03年に急死した00年牡馬クラシック2冠馬エアシャカールの産駒2頭が、中央でのデビュー戦を迎える。

 16日(土)の阪神6R・2歳新馬(芝1400m)には、エアファーギー(牝2、栗東藤岡健一厩舎)が出走。鞍上には藤岡佑介騎手を迎える。17日(日)の阪神5R(芝1800m)には、セフティーオーラ(牝2、栗東須貝彦三厩舎)が出走。こちらは須貝尚介騎手が騎乗する。

 エアシャカールは00年に皐月賞(GI)、菊花賞(GI)を制覇。02年の有馬記念(GI-9着)を最後に引退したが、種牡馬入り初年度となった03年3月13日に放牧中の事故により骨折。安楽死の処置が取られ、産駒はわずか4頭しか残せなかった。なお、そのうちの1頭であるエアーミラクル(牝2、北海道・楠克美厩舎)が10月24日にホッカイドウ競馬で勝ち上がり、産駒初勝利を果たしている。