早くも中山に徹夜組30メートル

いやー,暇ですな...

6日目の中山競馬が終了した17日の午後4時過ぎには、中山競馬場の正門前に早くも「有馬記念・G1」(24日9の開門を待つファンが列をつくった。ビニールシートや段ボール箱を敷き、その列はおよそ30メートルほど。今後さらに列は延びそうだ。列の先頭は、15日の朝から並んでいるという男女10人ほどのグループ。そのうちの一人の女性はコートで身を包みながら、「これから順番で徹夜します。私は違うけど、みんなはやっぱりディープを応援しているみたい」と笑った。当日の警備態勢は通常開催日の800人から150人程度増やす例年の有馬記念通りの予定。





焼き付けろ!生涯最高のディープ…24日有馬記念

 ディープ一色の“有馬ウイーク”が始まった。日本の競馬史上最強馬ディープインパクト(牡4歳、栗東池江泰郎厩舎)が、24日の第51回有馬記念・G1(中山、芝2500メートル)を最後に現役を引退。今年の夢のグランプリは、ターフを去る「怪物」にすべての関心が集まっている。17日、ディープは滋賀・栗東トレーニングセンターで順調に調教を消化した。

 “ラストステージ”の幕は、暗闇の中で静かに開いた。17日午前3時すぎの栗東トレセン。点在するライトにつやのある馬体を光らせながら、ディープインパクトが静かにDウッドチップコースを駆け抜けた。前夜の雨でぬかるんだ馬場でも、乱れないフットワーク。鞍上の池江敏行助手との呼吸もピタリと合って、完ぺきな調教を消化した。

 4ハロン57秒0−40秒8−13秒6。「半マイル57秒、ラストは13秒半で」という池江泰郎調教師の指示通りのタイムだった。「いつもの通り、競馬を使う前のやり方。折り合いもついて気持ちよく走っていた。ジャパンCのときは気持ちが入り過ぎていたけれど、一度使って抜けてきたね」双眼鏡越しに姿を見届けた指揮官は、満足そうに何度もうなずいた。

 有馬記念は、初めて敗戦を味わった因縁のレースだ。昨年は、レースのちょうど1週前の日曜から雪の影響を受け、追い切り日も二転三転。歯車を狂わされたディープは、ハーツクライから半馬身差の2着に敗れた。「去年は天候を考えて、いろいろ変更があったりしたけど、今年はそんな心配をしなくていいからね」暖冬の今年は、この日の追い切り時の気温も8度。天も味方している。

 現役最後のレースまで秒読み段階。手元から離れていってしまう寂しさを覚えながらも、池江泰郎師は表情を引き締めた。「一日一日を大事に調整していく。苦しいことがあったぶんも、最後に全部ぶつけたい」薬物問題、凱旋門賞失格。そしてバッシング−。最後に訪れた試練を自らの力へと変えた人馬が、完全燃焼を誓った。

 >ファン投票1位 2年連続。昨年の16万297票には及ばず、11万9940票にとどまったが、得票率は77.5%から78.7%と上昇した。

 >G1最多勝へ 現在、6勝で2番目。トップはシンボリルドルフテイエムオペラオーの7勝(JRAのみ)。

 >フィーバー 昨年は、有馬記念史上3位となる16万2409人が中山競馬場に足を運んだ。第1位は、白い怪物・オグリキャップの引退レースとなった17万7779人。今年は果たして…。




阪神C(17日)

 新設重賞を制したのは、昨年の最優秀2歳馬フサイチリシャール(福永)。直線抜け出して、朝日杯FS以来、約1年ぶりの勝利を手にした。2着は関東馬プリサイスマシーン。1番人気に推された英国のコートマスターピースは9着に敗れた。 記念すべき第1回大会でG1馬が復活を遂げた。フサイチリシャールを福永が初代王者に導いた。「この馬本来の力から比較すると物足りない成績が続いていたので。本当に勝ててよかった」昨年の朝日杯FSで2歳王者に輝いて以来、実に1年ぶりの勝利を力強い末脚で手にして笑顔がはじけた。 初の1400メートルという短距離で、本領のスピードと瞬発力が最大限に生きた。「久しぶりに乗った調教でもいい感触。あとは距離だけだったが、スタートが良く、短い流れの方が折り合いもスムーズだった」と話す。スタートを決めて道中は好位を追走。抜群の手応えのまま折り合った。直線に向いても慌てず、外に進路があくと瞬時に反応。「最後は朝日杯を見ているような感じだった」という鋭い瞬発力で抜け出した。 「来週はお休みになるんで。これで今年も何とか年を越せそうです」ヒーローインタビューをジョークで締めくくったユーイチ。前日、他馬の進路を妨害したとして23日から1月7日まで騎乗停止に。アドマイヤフジで挑む予定だった有馬記念にも乗れず、今年はこの日が乗り収めとなっていたが、最高の形で終えることができた。 フサイチリシャールにとって、来年は安田記念や、フェブラリーSなど狙えるG1は数多い。「G2でも定量戦でG1メンバーの競馬でしたからね。高松宮記念はさすがに距離が短すぎますが、これで調整の意気込みも違ってきます」と松田国調教師。完全復活したG1馬が、来年はさらなる高みを目指す。




プリサイス首差2着/阪神C

 プリサイスマシーンは直線で前が開いてから鋭く伸びたが、勝ったリシャールにクビ差届かず、惜しい2着に終わった。「直線で最初、外に行こうと思ったけど、前が開かなくて内へ入れた。あそこで追い出すが遅れた分(の負け)だね。スムーズなら結果は違っていたと思う」と安藤。松岡騎手の負傷で乗り替わっての一戦だったが、代打ホームランをあと1歩で逃がした。




13番人気ティアラがV

 勝浦正樹騎手(28)が新・穴男を襲名した。単勝万馬券、13番人気のアポロティアラ(柴崎)をあやつり重賞初勝利に導いた。勝浦は今季重賞3勝目、柴崎勇師(57)は01年以来の2つ目の重賞タイトルとなった。
 赤い帽子が馬群を割って出てきた。勝浦だ。テン乗り、しかも13番人気のアポロティアラの末脚がグングン伸びる。あっという間に2着以下を突き放し、堂々と1着でゴール板を駆け抜けた。
 「いやー、初めて乗ったので。手応えはずっと良かったんだけど、ゴールするまでは必死だった」。初重賞も人気薄だった。99年共同通信杯4歳Sを勝った時は10番人気のヤマニンアクロ。続く00年函館記念は14番人気のクラフトマンシップを勝利へ導いた。04年のオールカマーは最低9番人気のトーセンダンディで制した。「穴男」の称号を贈るのに不足ない実績。
 柴崎師の指示は「スタートはいいけど行かないでくれ。前回の着順(サフラン賞12着)は気にしなくていいから」。その通り、経済コースを進みしまいを生かすことを心がけた。「勝浦が本当にうまく乗ってくれましたよ」。トレーナーは繰り返し言った。



開催競馬・主な出来事



>12月16日(土)
・5回中山第5日

12R【出走取消】
 9番エアカエサル ※左肩跛行のため

・3回阪神第5日
2R【出走取消】
 6番ピリリヴァーニイ ※右寛跛行のため

7R【出走取消】
 6番メジロドルフィン ※右後肢フレグモーネのため

8R【競走除外】
 5番ミッドナイトトーク(渡辺薫彦騎手)は、発馬機内で暴れた際、疾病を発症したため競走除外となった。
病名:脳震盪

10R【降着
 第4位に入線した6番ジョウノオーロラ(福永祐一騎手)は、最後の直線走路で急に内側に斜行し、2番ビッグファルコン(熊沢重文騎手)の走行を妨害したため、10着に降着となった。なお、福永祐一騎手は平成18年12月23日(祝・土)から平成19年1月7日(日)まで騎乗停止となった(開催日4日間)。

・4回中京第5日

5R【競走中止
 14番ユーワマクベス(塚田祥雄騎手)は、他の馬に関係なく馬体に故障を発症し、3コーナーで競走を中止した。
馬:左第3中手骨々折
騎手:異状なし

10R【疾病発症】
 14番レオアライブ(津村明秀騎手)は、競走中に心房細動を発症した。


>12月17日(日)
・5回中山第6日

2R【降着
 6位に入線した13番サドラーズボーイ(江田照男騎手)は、最後の直線走路で急に外側に斜行し、11番ティンバーセブン(吉田豊騎手)の走行を妨害したため、第8着に降着となった。なお、江田照男騎手は平成18年12月23日(祝・土)から平成19年1月7日(日)まで騎乗停止となった(開催日4日間)。

5R【競走中止
 3番トウカイマジック(蓑島靖典騎手)は、1周目3号障害飛越の際、つまずいて騎手が落馬し、競走を中止した。また、5番スリーエリシオ号(植野貴也騎手)は、2周目5号障害飛越の際、つまずいて転倒し、競走を中止した。
3番
馬:異状なし
騎手:異状なし
5番
馬:異状なし
騎手:異状なし

7R【出走取消】
 3番タカラパーク ※右肩跛行のため

・3回阪神第6日

5R【競走除外】
 18番カレンベラッジオ(安藤勝己騎手)は、馬場入場後に疾病を発症したため競走除外となった。
病名:左肩跛行

6R【降着
 6位に入線した2番ナムラカゲトラ(渡辺薫彦騎手)は、4コーナーで急に外側に斜行し、5番アルヴィス(四位洋文騎手)の走行を妨害したため、11着に降着となった。なお、渡辺薫彦騎手は平成18年12月23日(祝・土)から平成19年1月7日(日)まで騎乗停止となった(開催日4日間)。

11R【出走取消】
 1番ステキシンスケクン ※右肩跛行のため

・4回中京第6日

3R【競走中止
 15番アイアムマイネル(石神深一騎手)は、発走直後、他の馬に関係なくつまずいて騎手が落馬し、競走を中止した。
馬:異状なし
騎手:異状なし



ミヤマポピーの仔などが競走馬登録

 14日付で、JRAに競走馬登録された主な馬は以下の通り。

>アジュディマイン(牝2、美浦・小笠倫弘厩舎)
アジュディケーティング、母エスイゴールド(その父Private Account)
全兄にベルモントファラオ(東京シティ盃)。

>インスパイアクロス(牡2、美浦戸田博文厩舎)
メジロライアン、母フラッシュシャワー(その父アイノセントスキー)
母はフラワーC(GIII)勝ち馬。

>ゲイルスパーキー(牡2、美浦古賀慎明厩舎)
サクラバクシンオー、母フェイムオブラス(その父ランズダーン)
母はCBC賞(GII)勝ち馬。

>ホッコートレジャー(牡2、栗東飯田明弘厩舎)
キングオブキングス、母ミヤマポピー(その父カブラヤオー)
母はエリザベス女王杯(GI)勝ち馬。

>マリエンローション(牝2、栗東中村均厩舎)
父マリエンバード、母マルカアイリス(その父ブレイヴェストローマン)
母は小倉3歳S(GIII)勝ち馬。半兄にマルカセンリョウ(名古屋大賞典-GIIIかきつばた記念-交流GIII)。

>リンダムーン(牝2、美浦小島茂之厩舎)
リンドシェーバー、母グレースシラオキ(その父ノノアルコ)
母は根岸S(GIII)勝ち馬。

>ロードコネクト(牡2、栗東安田隆行厩舎)
父カリズマティック、母エンドイットダーリン(その父Alydar)
半姉にブライトサンディー(サファイヤS-GIII函館記念-GIII)。




日本人所有馬が米G1を勝利

 現地時間17日、米・ハリウッドパーク競馬場で行われたハリウッドスターレットS(2歳牝、米G1・ダート8.5f)は、D.フローレス騎手騎乗の8番人気ロマンスイズダイアン Romance is Diane(牝2、米・M.ミッチェル厩舎)が好位3番手追走から直線入り口で先頭に立つと、4番人気クイックリトルミス Quick Little Missを1馬身抑え優勝した。勝ちタイムは1分42秒61(良)。1/2馬身差の3着に2番人気ダウン Down、1番人気ミスティカルプラン Mistical Planは8着に終わった。

 勝ったロマンスイズダイアンは父In Excess、母Romantic Fibs(その父Prized)という血統の米国産馬。全兄にロマンスイズホープ Romanceishope(デルマーダービー-米G2)がいる。7月29日に米・D.オニール厩舎からデルマー競馬場でデビュー(8着)。その後現厩舎に移籍し、10月6日のメイドン(ダート8f)、前走のカリフォルニアC(ダート8.5f)を連勝。今回が重賞初出走だった。通算成績4戦3勝(重賞1勝)。

 なお、同馬の馬主は日本でオウシュウクラウン(岩手ダービー ダイヤモンドC、ジャパンダートダービー-交流GI・3着)などを所有する西村專次氏。本馬の全兄ロマンスイズホープも所有していた。