メガワンダー重賞連覇へ意欲

スケルツィ 本領見せる?

 京都金杯(G3、芝1600メートル、6日=京都)の追い切りが行われ、サクラメガワンダー(牡4、栗東・友道)が坂路で抜群の動きを見せた。前走の鳴尾記念で1年ぶりの勝利を挙げ、年が変わっても絶好調をキープ。得意とする地元関西地区のレースで、重賞連覇とともに新年のスタートダッシュを決める。
 サクラメガワンダーが栗色の馬体を輝かせながら坂路を駆け上がった。スタート直後は3馬身前にいたユーガットテースト(500万)をジリジリ追い詰め、ラスト1ハロンで並びかける。友道康夫師(43)が「まだ余裕があった」と話す手応えのまま、パートナーを競り落とすと最後は2馬身半先着。最終ラップも12秒7と申し分なかった。「動きは良かったね。天皇賞(9着)が終わった後、雰囲気や動きがすごく良くなったけど、今回も前走ぐらいの状態にある」。優勝した前走鳴尾記念の前に同師は絶好調宣言を出していたが、今回もそれをしっかりキープしているといえそうだ。
 もっとも、前走の勝因は体調だけではない。友道師は「地元の競馬だったことが大きいよ」と強調した。昨年は、初戦の弥生賞から天皇賞(秋)まで5戦続けてアウエーの関東遠征。そのたびに輸送後のイレ込みに悩まされた。「帯同馬をつけたり、いろいろと工夫したけどダメだった」。その間の最高着順は弥生賞の4着。あとはことごとく掲示板を外してしまった。
 鳴尾記念は、重賞初Vとなったラジオたんぱ杯(現ラジオNIKKEI杯)2歳S以来のホーム戦。友道師は「レース前の雰囲気が全然違った」と振り返る。レースでは3番手追走から33秒4の上がりを繰り出して快勝。騎乗したペリエ騎手は「この馬は大きいところを狙える」と絶賛した。
 今回の舞台も、能力を発揮できるはずの「地元」京都。マイル戦は2歳時以来(新馬4着、未勝利2着)で実績に乏しいが、友道師は「毎日王冠(1800メートル=9着)の後、騎乗した後藤騎手はマイルがベストじゃないかなと話していた」と意に介さない。今春の目標は安田記念に置かれる。輸送という大きな課題が残されているが、まずはその前に地の利を生かして重賞連覇だ。




スケルツィ異例火曜追い51秒3

 京都金杯(G3、芝1600メートル、6日=京都)に西下するマイネルスケルツィ(牡4、稲葉)が2日、美浦で異例の火曜追い切りを敢行した。レースまでの間隔を1日でも多く取ることによって、疲労を完全に取る目的。動きは絶好で、坂路2本目に単走で51秒3−37秒1−24秒5−12秒4(馬なり)の好時計をマークした。首+頭差3着と好走した前走阪神Cの状態をキープしている。稲葉師は「予定より時計は速くなったが、それだけ具合がいい証拠。競馬の日に馬の気持ちをピークに持っていきたい」と話した。
 陣営は引っ掛かる気性を考慮して、今回使った後はスプリント路線に転換する。春最大のターゲットは高松宮記念。「出走を確実にするために、少しでも賞金を加算しておきたい」と、トレーナーは最低でも2着のノルマを課した。



シェンク走りに集中

 追い切りで初めてマルカシェンクにまたがった赤木が「人の指示を聞くし乗りやすい。凄く訓練されている感じですね。乗り味はもちろんいいですよ」と絶賛した。DWコースの単走で、力強くウッドチップを蹴り上げた。いかにも走ることに集中できている印象。2月いっぱいで定年となる瀬戸口師は、このレースに管理馬を送り出すのもこれが最後だ。「いい動きだったね。いい状態を維持できている」と師も満足げ。新馬戦でフサイチリシャールを一蹴。ダービー4着の能力はハイレベルの4歳世代にあっても上位だ。「位置取りはこだわらない。騎手が分かってくれていると思うし、あとは任せるだけ」と師の期待は大きい。




イースター気合注入51秒5

 ディセンバーSを快勝したイースターがCウッドで力強い脚取りを見せた。長谷川騎手を背に直線に入ると、ビシッと気合を注入されてラスト12秒2でフィニッシュ。6ハロン82秒7。4ハロン51秒5、3ハロン37秒8は出色の時計だ。長谷川は「折り合いがつくようになっている。最後まで動きは良かったし、ちょっと自信がつきました」と笑顔を見せた。
 長谷川は03年度に関西新人賞(28勝)、ここ2年連続でフェアプレー賞を受賞したデビュー4年目の気鋭だ。3戦目のコンビとなるイースターも波に乗ってきた。キャリア1戦で京王杯2歳Sに挑戦して2着。骨折で出世が遅れていたが、前走で1年ぶりの復活Vを飾った。「今日の雰囲気なら2000メートルでも不安はない。前走は典さん(横山典騎手)の乗り方がすごかった。あとは僕次第ですかね(笑い)」。トップハンデ馬と3・5キロの重量差があるだけに、チャンスは十分あるだろう。




タイド、怪物に変わる

先に引退したディープインパクトの兄ブラックタイドは3日、栗東トレセンで追い切られた。けいこは地味な馬で半馬身遅れたが、想定の範囲内で仕上がりに問題はなさそうだ。久々の美酒に酔うか。マヤノライジンは上がり馬らしい気迫が見えた。

 有馬記念Vを最後に引退したディープインパクトの兄ブラックタイドが、07年の始動戦に向けて静かに態勢を整えた。

 Dウッドチップコースでマチカネウマジルシ(8歳1600万)と併せ、半馬身遅れてフィニッシュ。6ハロン85秒0は胸を張れる時計ではないが、片山助手は「これまでも攻め馬でぶっちぎったことはないでしょ。いつも通りの動きです」と及第点を与えた。

 7冠馬となった弟とは立つステージが違う。だが、屈けん炎で2年あまりの闘病生活を経験しながら、再び重賞勝ちを意識できるレベルまで戻ったのは、血統に裏打ちされた身体能力の高さの証明だ。

 戦列復帰後に勝ち星はないとはいえ、スプリングSを快勝した3年前のクラシック候補が軌道に乗ってきたのは間違いない。「この前(ディセンバーS=3着)はスローペースにはまってしまったからね」アンドロメダS(2着)に続く好走で、片山助手は復活への手応えをつかんだ。

 「正直、ここまで競馬ができると思わなかったけど、やっぱり血統ですよ。あとは展開がはまってくれるのを待つだけ」と話した。ハンデ戦で55キロのG3なら、十分に射程圏だろう。ディープインパクトと同じ池江郎厩舎で、父、母とも同じ全兄が、ファンに“初夢”を贈るかもしれない。