オーラ豪快差し見せた〜シンザン記念

クラシック候補誕生!!

ダイワスカーレット(8)の外から抜け出したアドマイヤオーラが差し切ってクラシックに名乗りを上げた


 今年最初の3歳重賞「第41回シンザン記念」が8日、京都競馬場で行われ、3番人気アドマイヤオーラが豪快な差し切り勝ちを収め、クラシック戦線に名乗りを上げた。1番人気に支持されたダイワメジャーの半妹ダイワスカーレットは2着に敗れた。

 直線は2頭のマッチレース。意地と意地がぶつかり合い、激しく火花が散る。ラスト1F。アドマイヤオーラダイワスカーレットの外に馬体を併せ、そこから先は絶対に譲れない我慢比べ。岩田が懸命にゲキを送り続ける。スッと引き離したのは残り100メートル地点。前走・中京2歳Sで半馬身届かなかった因縁の相手を、今度は逆に1馬身半差でねじ伏せた。

 上がり3F33秒3。初コンビの岩田は「道中はダイワしか見ていません。向こうが前に行ってくれて、いい形で運べましたね。絶対に切れると思って追いました。凄い瞬発力でしたよ」とオーラの能力を最大限に引き出して見せた。コーナー4カ所で窮屈な走りを強いられた中京から舞台は京都。距離は1F短くなったがコーナーは2つだけ。新馬勝ちした広いターフに戻り、本来の躍動感あふれる走りを取り戻した。

 レース前、距離不足を気にしていた松田博師にとっても、想像以上の勝ちっぷりだった。「スタートして3コーナーまでずっと直線だし、それが良かったんだろう。デビュー3戦で一番いいレース。好位からこういうレースができれば安心して見ていられるな」。コスモドリーム(88年オークス)、ベガ(93年桜花賞オークス)、ブゼンキャンドル(99年秋華賞)の3頭で牝馬3冠を制した名トレーナーだが、牡馬クラシックは未勝利。昨年はアドマイヤムーンドリームパスポートキャプテンベガを擁しながら悲願に届かなかった。

 オーラは同じ松田博師が管理したアドマイヤジャパンの半弟。兄は05年のクラシック3冠にすべて出走。3、10、2着と健闘したが、無敗3冠馬ディープインパクトと同世代では仕方のない結果。絶対的な存在がいない今年は、弟が兄の無念を晴らす絶好のチャンス。「賞金を加算できたし、とりあえずひと息入れる予定。もうひと回り体が大きくなれば、もっと良くなる」と同師。3歳牡馬の頂点へ、448キロのコンパクトボディーに計り知れない可能性が詰まっている。

 >アドマイヤオーラ 父アグネスタキオン 母ビワハイジ(母の父カーリアン)牡3歳 栗東・松田博厩舎所属 馬主・近藤利一氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績3戦2勝 総収得賞金5387万5000円 重賞は初制覇。3番人気の優勝はニチドウサンダー以来17年ぶり3頭目








アイヴォリー差し切った〜呉竹賞

 3歳500万クラスで争われた中山9R・呉竹賞は中団で脚をタメたアイヴォリーカラーが差し切った。前走は逃げての圧勝だったが「ゲート難があるからハナに行けないことを想定していた」と横山典。「こういう競馬ができるとレースの幅が広がる。砂をかぶっても嫌がらなかったしね」と満足げ。8日の同騎手は8鞍で5勝、2着2回。「いい馬に乗せてもらった結果。驚くことでもないが、初日(6日)が未勝利だったのでね…。これを励みに頑張ります」と話した。





新成人・大野が大暴れ 中山で2勝

 「成人の日」の8日、東西で新成人ジョッキーが大活躍。中山は大野拓弥(20)、京都では鮫島良太(19)が、それぞれ2勝を挙げる活躍を見せた。

 中山ではデビュー3年目を迎えた大野が大暴れ。2Rは2番人気アイアムジュピターに騎乗し、逃げたセントラルカフェをぴったりとマーク。ゴール前で頭差競り落とした。7Rでは7番人気の伏兵テンジンダイカグラを、好位追走から早めに抜け出す好判断で勝利に導き、馬単13万円馬券の立役者となった。「稽古で動いていたので期待をしていた。砂をかぶせないよう、いい位置で回れた」と自画自賛の好騎乗。最高の結果で晴れの日を迎えたが「まだまだ精神的に甘いところがあるし、成績も好不調の波が激しい。20歳になり、もっと大人の自覚を持たないと」と決意を新たにする。

 昨年31勝とブレークした関東のホープ。開幕3日間で3勝を積み上げ「この勢いで白星を伸ばしたい。今年は、ぜひ重賞も勝ちたいですね」と笑顔を見せていた。

 一方、京都では大野と同期の鮫島が6Rマイネルクルーガーで今年初勝利。最終12Rも12番人気セレスクラブで制し、3連単111万円の超ビッグ配当を演出した。レース後は生まれ故郷の家族、友人らと成人を祝うために佐賀・鳥栖市へ。「友人にいい報告ができます。勝ててよかった」と喜びいっぱいの表情で、競馬場を後にした。

 次代の競馬界を担う2人の新鋭が、記念すべき門出を自ら祝う大活躍。今年はG1での騎乗機会も増えそうで、その手綱さばきから目が離せない。