良血マナムスメ桜花賞へ期待

jra-news2007-01-12

 3歳牝馬による注目の一戦・紅梅S(オープン、芝1400メートル、14日=京都)の追い切りで、1戦1勝のニシノマナムスメ栗東・河内)が鋭い動きを披露した。坂路を軽快に駆け上がり52秒5−13秒2をマーク。愛娘の走りを確認した河内師は「欲目かもしれないが、1回使って良くなっているね」と笑顔を見せた。

 父アグネスタキオン、母ニシノフラワーとも、同師が騎手時代にG1馬へ導いた馬。思い入れは強い。新馬で見せたスピード、レースセンスに加え、牝馬にしてはカイバ食いも旺盛で体質面の不安もない。「ここで賞金を加算できればいいね」。母が勝った桜花賞へ向け、楽しみな2戦目を迎える。

 阪神JFで4着のローブデコルテ(栗東・松元茂)は坂路で57秒4−12秒9。安藤騎手は「先行集団の後ろで競馬してみたい。距離短縮は問題ないし、ラストはしっかり伸びてくれる馬だから」と好勝負に手応えありの表情だった。




オウテ絶好、軽く12秒2


 メイショウオウテは併走パートナーのエアセレソン古馬オープン)の動きを確認するかのように、ゆっくりと馬体を並べた。岩田騎手の手はほとんど動かない。軽めの内容だがラスト1ハロンは12秒2。絶好の動きを見せて、最終デモを終了した。

 「そんなにやる予定もなかったし、馬なりで相手に合わせる形。反応も良かったし、いい感じです」。開幕週に関西トップタイの5勝を挙げ、好スタートを切った岩田の感触も上々だ。「併せ馬としてはあれでちょうどいい。月曜にも時計が出ているから」と、伊藤雄二師(69)も納得の表情を見せた。

 2月末で定年を迎える同師だが、この馬が完成形を迎えるのは夏以降とみている。だから、無理な負荷はかけない。あくまで馬に合わせた仕上げ。それでも勝算は感じている。「距離は血統的にも問題ない」。日経新春杯当日には70歳の誕生日を迎える。名伯楽に重賞を贈ることが、オウテに課せられた使命だ。【岡田晋】




デイラニ本格化気配

 ピサノデイラニが本格化の気配は見せ始めている。最終追い切りは横山典騎手を背に、北馬場のダートコースでピサノパテック古馬1000万)と併せ馬を行った。直線で内に進路を取ると、余力十分に並びかけジワッと差を広げた。馬なりのまま1馬身先着。5ハロン66秒6、ラスト12秒7。横山典は「調教ではまだ4回くらいしか乗っていないから、以前との比較はできないが順調にきている。芝がダメとは思っていない」と好感触を伝えた。

 冬場の芝コースは凍結や霜の影響で危険が伴う。ウッドコースは空気の乾燥で脚もとに外傷を負う可能性もある。リスクを軽減するためダートコースを選択。このあたりの配慮は、有力馬を多数抱える藤沢和厩舎ならでは。葛西助手は「最近は集中して走っている。(うちの厩舎では)今年の3歳戦線の期待馬だから」と話す。

 兄シンボリクリスエスはダービー2着、3歳の秋には天皇賞にも勝った。「まだ兄と比較するのはかわいそうだけど、(この時点の兄より)馬はしっかりしている」と横山典。兄の果たせなかったクラシック制覇へ。まずは1つ目の重賞を奪取する。





フジ坂路で好時計51秒7

 インパクト世代の強さを見せつける! 日経新春杯(G2、芝2400メートル、14日=京都)で連覇を狙うアドマイヤフジ(牡5、栗東・橋田)が11日、坂路で51秒7の好時計をマークした。「落ちていた筋肉が戻ってきた」と橋田満師(54)も好感触。天皇賞・春(G1、芝3200メートル、4月29日=京都)を目標にする大器の07年初戦に期待がかかる。

 坂路モニターに映し出された時計に、記者席がどよめいた。800メートル51秒7。見た目に速い印象はなかったが、それだけ推進力があり、トモの蹴りが強い証拠だ。スタートから13秒8、12秒3、12秒1と飛ばしてもフットワークに乱れはない。さすがにラストは13秒5を要したが、余力十分の動きに橋田師も合格点を与えた。

 「先週は雪であまりやらなかったので、今日はある程度追うように指示しました。メッキリハッキリやったわけじゃないけど、道中が速かったので、これで十分でしょう」。昨年3月の阪神大賞典直前にき甲を骨折。有馬記念(8着)で11カ月ぶりの戦線復帰となったが、マイナス8キロでの出走だった。グランプリを使った効果は十分だ。

 「(骨折が)走ることに影響がなかったのは幸いでした。ただ、1年近く休んでいたので、さすがに筋肉は落ちていた。そのあたりは1回使ってだいぶ戻ってきました。馬体重は少し増えていると思います」と橋田師。同世代のディープインパクトが引退。史上最強馬にことごとく3冠を阻まれたが、橋田師が与えたG1級の評価は今も変わっていない。

 「この子は普通の馬とは違う“何か”を持っている。ものすごいパワフルでスピードもある。放牧に出すと、1頭だけ飛び抜けているから好き放題に走っている。競馬では遊び半分走ってるようなところがあるんですけどね」と笑った。

 G1・9勝を挙げるトレーナーにして、まだフジの底は見えてこない。大目標は春の盾。アドマイヤベガ×アドマイヤラピスという純正・橋田ブランドにかける期待は大きい。復帰初戦こそ鳴尾記念有馬記念で揺れたが、2戦目の日経新春杯は予定通り。連覇を足がかりに頂点を目指す。道半ばのG2で立ち止まるわけにはいかない。





田中勝ショウリュウで重賞V3だ

 中山の正月開催で2重賞(中山金杯シャドウゲイトガーネットSスリーアベニュー)を制した田中勝春騎手(35)が、京成杯のショウリュウアクトで正月重賞3連勝に挑む。同馬とは初コンビのため、想定表のデータを見ながら情報収集。「未勝利を勝ったばかりだけど堅実に走るタイプのようだ。追い込み脚質だけど、直線では確実に差してきているね」と追い比べに腕をぶす。

 昨年末から正月は自宅で過ごした。「例年、初詣でなんかも行かないし特別なことは何もしていない。いきなり重賞を2つ勝って気持ちいいのはもちろんだけど、3連勝なんてあまり意識しないで乗りたい」と自然体を強調。それでも、人気馬より人気薄で思い切ったレースをして一発を狙う方が好きと言う田中勝。今週もアッと言わせる大駆けがあるかも知れない。




後藤シビれたレガーロの切れ味

 京成杯(G3、芝2000メートル、14日)の追い切りでメイショウレガーロ(牡3、小島太)が父マンハッタンカフェ譲りの素晴らしい瞬発力を見せた。ウッドコースで5ハロン68秒6、しまい12秒1。併せた古馬を子ども扱いにした。父だけでなく母のコッコレも現役時代は小島太厩舎所属という自社ブランドで、05年2月以来となる重賞タイトルを狙う。

 メイショウレガーロ後藤浩輝騎手(32)が反応を確かめる程度に手綱を押すと、それまで肩を並べていたホットカフェ(古馬500万)を一瞬にして突き放した。「こんなにすごい反応を出す馬なんだね。驚いた」。飛んでいきそうな手応えに、後藤はゴール前で手綱を緩めた。5ハロン68秒6、しまい12秒1の切れ味。キャリア3戦の3歳馬が古馬に3馬身の差をつけた。

 後藤が抱いていたイメージは、実際にまたがって180度変わった。「前回一緒に追い切りをやった時に反応を見たら、ちょっとズブい感じだった。でも、今日は仕掛けた途端にはじけてびっくりした」。父マンハッタンカフェ譲りなのは瞬発力だけではない。頭の高い走法もそっくり。「道中フワフワして遊びがあるだけに距離も持つと思う。今まで乗っている3歳にはない特別な感じの雰囲気がある」。乗り役はしびれるほどの手応えを感じ取っていた。

 8月27日に札幌でデビューし、前走のベゴニア賞で2勝目。ここまで中6週と間隔があいた。小島太師は「朝日杯FSに使うプランもあったが、先を考えて春に備えようということになった」と説明する。成長をうながす必要のある若駒は1戦1戦が大切。前走後は短期放牧に出し、照準をきっちり絞ってここへやってきた。「つくべきところに筋肉がついてきたけど、すごく馬がしなやか。体の使い方がいいよね。すごく瞬発力のある馬」。父マンハッタン同様、母のコッコレも小島太厩舎出身。「やや頭の高いところなんかはお父さんに似ている。お母さんは育成場で見た時、320キロぐらいしかなくてね。馬が1歳違うのでは? という話をしたぐらいだったな」。父母ともに管理していただけに思い入れも強い。

 05年2月6日の共同通信杯ストーミーカフェシルクロードSのプレシャスカフェの同日重賞制覇以来、タイトルを取っていない。小島ブランドのレガーロに、3年越しの重賞タイトルがかかっている。