国枝師3年ぶり重賞V獲る

成長あり?

 明け4歳での飛躍を目指すマツリダゴッホ(牡、国枝)が、今週の中山メーンのアメリカJCC(G2、芝2200メートル、21日)で初重賞制覇を狙う。精神面の成長で課題だった折り合い面の不安が解消。馬体の充実も著しく、末脚のパワーアップにも成功した。国枝栄師(51)は、04年以来のJRA重賞制覇を07年の目標に掲げる。クラシックを狙う精鋭がそろう厩舎に弾みをつけるためにも、ここは1着が欲しい。
 厩舎の期待馬に、素質開花の雰囲気が漂う。ダービートライアルの青葉賞で2番人気の支持を集めたマツリダゴッホが前走の勝利で待望のオープン入り。本格的に重賞路線へ踏み出した。
 国枝師は気性面の成長を大きく評価する。「余計なところに力が入らなくなっている」。札幌の日高特別を勝ったときでも相当に掛かる面を見せていた馬が、前走は人馬一体。横山典弘騎手(38)が「期待通りの内容」とうなずく会心のレースで、課題だった折り合いの不安をぬぐい去った。
 精神面の成長は走りにもパワーを生んだ。「余分な力が抜けて気持ちに余裕が出てくると、食べた物が実になり体にも張りが出てくる」と国枝師。夏までは470キロ台前半で走っていた馬がここ2走は80キロ台。トモや腹回りがグンとたくましくなった。中山の急坂を一気に突き抜けた前走の爆発力は、確かな成長の証しだ。


 開幕5日間で3勝。07年の順調な滑り出しを決めた国枝厩舎だが、これで満足はしていられない。新年に当たり、トレーナーは1つの目標を掲げた。「昨年以上の勝ち星を目標にするとともに、その内容にもこだわりたい」。
 関西馬躍進の秘密を探るため自ら一調教助手となり、馬に乗って栗東の調教を体感したこともある。柔軟な発想と行動力で、毎年のように多くの勝ち星を積み重ねてきた。昨年も藤沢和厩舎(55勝)に次ぐ40勝を挙げ、3年連続の関東リーディング2位を確保した。ただ、最後まで勝てなかったのが重賞だった。のべ21頭を送り出し、3度の4着が最高。交流重賞の勝利はあるが、JRAでの重賞勝利は04年の秋までさかのぼる。「今年は重賞を勝ちたい」。タイトルを熱望する気持ちは強い。
 ジュニアCを圧勝したマイネルシーガルを筆頭に、3歳世代には素質馬の名前がずらりと並ぶ。今年は頂点を狙える布陣。「ここで弾みを付けたいね」。明け4歳での飛躍を期すゴッホにとっても国枝師にとっても、07年を占う重要な一戦となる。




佐賀のスーパーワシントンJRA移籍

 14日、昨年のかささぎ賞(3歳500万下、芝1200m)を勝ったスーパーワシントン(牡4)が、佐賀・手島勝利厩舎から栗東中尾秀正厩舎に移籍したことがわかった。

 同馬は、父エイシンワシントン、母スーパーオペラ(その父オペラハウス)という血統で、伯父にフジヤマケンザン(香港国際C-香G2)がいる。

 05年7月に佐賀でデビュー勝ち(ダート900m)し、06年1月に小倉競馬場で行われたかささぎ賞では、9番人気(単勝31.9倍)ながら鋭い瞬発力を見せ差し切り。全10戦のうち8戦がJRAでのレースになっている。通算成績10戦2勝(うちJRA8戦1勝)。



期待の上がり馬サイクロン

 期待の上がり馬がタガノサイクロンだ。ダートは5戦4勝2着1回。前走・フェアウェルSでは4角で落馬寸前の不利がありながら、直線一気の強い内容だった。広井厩務員は「普通はあそこでひるむんだけど、それで勝つのだから根性がある」と話す。昨年のこのレースは同厩、同馬主、同騎手のタガノゲルニカが昇級戦で快勝。「ゲルニカのようになってくれれば」と期待していた。




武豊「遅れた分を取り戻す」

 武豊騎手(37=フリー)がいよいよ今週から、レースに復帰する。昨年12月6日に香港で騎乗した際、他馬の進路を妨害、12月25日から今年1月17日まで騎乗停止処分となっていた。
 豊は例年通り、米西海岸のサンタアニタで大晦日、正月を迎えた。現地で競馬を観戦するのがここ数年来の行事になっている。
 8日には日刊スポーツ新聞社大阪本社制定「日刊3賞」表彰式(殊勲賞受賞)にスーツ姿で出席し「20日からのスタートに向けて万全に調整し、遅れた分を取り返したい」と話した。
 2年にわたってファンに感動を与えたディープインパクトが引退。自身のHPで、インパクトを最優先に考えてきたこれまでとは異なり、今年は久しぶりに自分の成績にこだわってみたい、2年ぶり4回目(03年204勝、04年211勝、05年212勝)の年間200勝に挑戦したい(昨年は178勝)と抱負を語っている。
 他の騎手に比べ2週遅れてのスタートはハンディには違いないが、固め打ちの得意な豊にしてみれば、さほど高いハードルではない。平安Sサカラートなど、1週目から有力馬が集まった。武豊07年のスタートダッシュがいよいよ始まる。