高校4冠ボクサーが騎手に転身

高校4冠ボクサーが騎手に転身

 平成21年度のJRA競馬学校騎手課程28期生の入学式が2日、千葉県白井市競馬学校で行われた。昨年の全国高校総体のボクシングライトフライ級で大会連覇を果たした原隆二君(18)や女子としては8年ぶりの入学となる小沢桃子さん(16)ら7人の新入生は、12年春の騎手デビューを目指して3年間の厳しい訓練に励む。

 抜けるような青空と校内にある五分咲きの桜が、真新しい制服に身を包んだ28期生7人の入学を祝福するようだ。

 その中でも大人びた雰囲気を醸し出しているのが高校4冠ボクサー(総体連覇、国体、選抜)で静岡県の飛龍高校卒の原隆二君だ。

 中学2年からボクシングを始め、これまでの実績なら大学進学やプロ転向という選択肢もあったが、自ら選んだのはジョッキーになる道だった。「将来的にボクシングで食べていくのは難しいと思った。体を動かすのも好きなので、自分の体格を生かすには有利だと思って騎手を目指しました」と志望動機を口にした。

 7人中、乗馬未経験者は原君と山崎君の2人だけ。2月中旬の約1週間の体験実習、3月16日から入学前の事前研修で基礎からの乗馬を仕込まれた。毎日の実技訓練で筋肉痛はもちろん、お尻の皮がむけたりもしたが、着実に成長を続けている。

 息子の挑戦に「1次試験受験前に(静岡県の)下田の乗馬クラブで自分で好きになってやれそうかどうか、ボクシングも今回の騎手を目指すのも本人が決めました。何でもノメリ込まないと結果が出ない子ですから…」と母・見子(ちかこ)さんは温かく見守る。

 「いろいろ悩みもあったけど、今はとにかく騎手になるということで頭がいっぱい。これからは厳しい毎日になると思いますが、努力して頑張ります」と原君は決意を新たにする。

 厳しい訓練に耐え抜いて順調にいけば3年後の12年3月にプロ騎手としてデビューとなる。ボクサーからジョッキーへの転身が成功することを祈りたい。