フォワード強襲!重賞初V

 高松宮記念のステップレースは、インを強襲したエーシンフォワード(岩田)が、切れ味鋭く伸びて重賞初制覇を飾った。2着は4歳牝馬ワンカラットが入り、1番人気で昨年の覇者ビービーガルダンは7着に敗れた。

 先行グループの直後で迎えた直線。エーシンフォワードの岩田は、わずかなスペースを見逃さなかった。前を行くヘッドライナー、ビービーガルダンの間。鞍上の左ムチに瞬時に反応し、アッという間に抜け出した。ゴールでは1馬身半差。決定的なリードを奪い、重賞初制覇を遂げた。

 「いつも、エーシンフォワードに負けていたから、能力は分かっていた。考えた通りのレース」。初めての騎乗でVへ導いたトップジョッキーは、してやったりの表情で振り返った。

 西園調教師は、連日の美酒を味わった。27日のアーリントンC(阪神)、コスモセンサーで断然人気(単勝1・7倍)のザタイキを下したばかり。同一競馬場での、土、日曜の平地重賞連続制覇は、1999年5月の白井調教師(アンタレスS=オースミジェット、京都4歳特別=ビッグバイキング)以来、実に10年10か月ぶりの快挙だ。

 「ホンマかいな、という感じ。2頭にとって天気が回復したのが大きかった」。願いが天に通じたのか、レース直前に馬場は良に回復。ゲンを担いで前日と同じスーツ、ネクタイを着用したトレーナーは笑顔が絶えない。

 今後は、高松宮記念(28日、中京)へ向かう可能性が高い。エイシンタイガー、ヘッドライナー、コスモベル…。うまくすれば、管理馬4頭で春の短距離王の座を狙うことになる。「今日でも、楽についていけるスピードがあった。安田記念向きかと思ってたんだが…」。指揮官はうれしい誤算を口にしながら、決戦へ思いをはせた。

 >エーシンフォワード 父フォレストワイルドキャット、母ウェイクアップキス(父キュアザブルース)。牡5歳の鹿毛。戦績18戦5勝。総収得賞金1億6011万3000円。重賞初勝利。生産者・米国のエディションファーム。馬主・(株)栄進堂。栗東西園正都厩舎所属。