善臣2週連続重賞V!アロマ大物の香り

 秋の飛躍を目指す3歳馬が競ったラジオNIKKEI賞・G3(4日、福島)は、ダービー出走を逃したアロマカフェ美浦小島太厩舎)が直線で抜け出して重賞初制覇を飾った。柴田善臣騎手(43)は、先週の宝塚記念に続く勝利。2着は首差でクォークスター。ダービー7着で、1番人気のトゥザグローリーは5着。

 グランプリ男の手綱がまた、さえ渡った。好スタートを決めたアロマカフェは、中団の外でじっと我慢を決め込んだ。向こう正面で1番人気のトゥザグローリーがすぐ横を勢いよく追い上げても、柴田善は動じる事なく、グッと力を蓄える。

 3コーナー手前から自然とスピードに乗り、少しずつポジションを上げて迎えた直線。鞍上の右ムチが大きくしなると、ググッと加速。見事に馬群から抜け出した。

 「ゲートをうまく出て、いい位置につけられたし、4コーナーの立ち上がりは、すごくいいリズムで走れた」。ゴール前で大外から猛追したクォークスターに首差まで詰め寄られても「脚が残ってたから」。わずかな差でも、6月27日の宝塚記念ナカヤマフェスタで制した男に、不安はなかった。

 前走の青葉賞(4着)に引き続き手綱を執った柴田は「GOサインを出せば、どこからでも出て行ける馬。前回、初めて乗ったときは、未完成な部分が多く、まだ無理する必要はないと思った。結果的にダービーの出走権を取れなかった事が良かったのかもしれない。これからどんどん良くなる」と目を細めた。一度の騎乗でパートナーの潜在能力の高さを見抜いたベテランは、期待を膨らませた。

 小島太調教師は、2勝目を挙げた前々走の山藤賞(中山)を高く評価した。「母(カリーノカフェ)が短距離馬だったから、2000メートルであの競馬(1着から5着まで鼻、鼻、鼻、首差)をしたのは大きい。まだ伸びしろはある」。力強い言葉で、成長に胸を躍らせた。

 「まずは放牧に出し、状態を見てから。(菊花賞)トライアルのセントライト記念あたりを考えて」。指揮官は万全の態勢を整え、最後のクラシックを騒がせるつもりだ。

 >アロマカフェ 父マンハッタンカフェ、母カリーノカフェ(父ハートレイク)。牡3歳の黒鹿毛。戦績8戦3勝。総収得賞金6752万5000円。重賞初勝利。生産者・北海道新冠町の浜口牧場。馬主・西川光一氏。美浦小島太厩舎所属。